日本産科婦人科学会認定医制度は、昭和62年４月に発足いたしました。認定医認定審査、すなわち認定医試験は平成５年度より、本会認定医制度規約第３章「認定医の審査と登録」の定めるところにより施行されております。
日本産科婦人科学会認定医制度はその発足以来11年になり、社団法人日本産科婦人科学会は社団法人日本母性保護産婦人科医会と協力し、日本産婦人科学会認定医の認定と、卒後および生涯研修等に必要な事業の推進に努めております。
さて、日本産科婦人科学会認定医制度は産婦人科領域における広い知識、練磨された技能と高い倫理性を備えた産婦人科医師を養成し、生涯にわたる研修を推進することにより、産婦人科医療の水準を高めて、国民の福祉に貢献することを目的にしております。そのため学会は、卒後研修のための指導施設の指定を行い、研修医は指導責任医のもと、学会の定めた卒後研修カリキュラムに沿って臨床研修を行わなければなりません。したがって、本審査は一定の水準に達した産婦人科医を学会が認定するためのものであり、認定医制度規約に定めるところにより施行されております。
さて、ここでわが国における認定医制度の歴史について簡単に述べてみましょう。わが国では専門性をもつ各医学領域の医師の資格認定制は、欧米に比べて発足が遅れておりましたが、昭和37年４月に日本麻酔指導医制度が最初に発足いたしました。昭和56年には22学会が加盟した学会認定医制協議会か発足しました。日本産科婦人科学会はやや遅れて、昭和62年に学会認定医制度を発足しました。現在の日本産科婦人科学会認定医制度は、日本医師会、日本医学会、学会認定医制協議会の三者承認を得ているものであります。
なお学会認定医制協議会には、平成10年３月現在47学会が加盟しております。
さて、本年度の日本産科婦人科学会認定医認定審査の試験は７月25日の土曜日に実施されます。この審査の実施に関しては、すでに繰り返し機関誌に会告を掲載し、申請を希望される方には、所定の手続きをとられるように配慮いたしております。申請受付は５月31日で既に締め切られました。認定審査は各地方部会の認定医制度委員会が実施する一次審査と、中央認定医制度委員会が実施する二次審査により実施されます。認定一次審査を受けることがでさる対象はわが国で医師免許を有し、通算５年以上本会会員であり、学会指定の卒後研修指導施設で、卒後研修目標に沿って通算５年以上の臨床研修を終了した医師です。平成９年度に認定の申請がでさる資格を有する医師は、平成５年度以前に卒後研修を開始したものです。
大学院、留学、疾病、女性で育児に従事した理由などで１年以上臨床を離れた医師は、通算５年の条件を満たしてから申請することができます
申請には認定医認定申請書、履歴書、研修記録、研修証明書、医師免許証の写し、症例に関するレポート、審査料を所属の各地方委員会に提出しなければなりません。各地方委員会では書類による一次審査を実施します。一次審査の合否は６月30日までに申請者に連絡されます。合格者には二次審査の実施日、場所などについても同時に連絡いたします。この放送の時期には受験者にはすでに報告が届いているはずです。
さて、本論である、認定二次審査について説明いたしましょう。今年度の認定二次審査は７月25日の土曜日に、東京は国際フォーラム、大阪は大阪国際交流センターで実施されます。北海道、東北、関東、北陸のうち新潟の各ブロックに属する医師は東京で受験し、東海、近畿、北陸のうち富山、石川、福井、そして中国、四国、九州の各ブロックに所属する医師は大阪で受験することになります。今年度は東京会場では156名、大阪会場では162名の受験者が試験を受ける予定です。なお二次審査の面接試験のために、試験実行委員会がおかれます。試験実行委員会は中央認定医制度委員長を委員長とし、中央委員会および試験開催地からそれぞれ若干名の委員をもって構成されます。第１段階試験担当者は東京会場では38名、大阪会場では34名に委嘱しております。また、第２段階は東京では６名、大阪では６名の先生に担当していただきます。当日は午前10時から午後４時30分まで午前組、午後組の２グループに分けて面接試験を行います。受験者は試験開始60分前までに説明会場に集合していただきます。
試験方法は第１段階では３名の試験官が面接、研修記録、症例レポートなどをもとに評価いたします。また例年通り、疾患別の共通問題を渡し、疾患の概要、治療方針などについて説明を求めることも実施する予定です。第１段階の試験時間は１人、約20分です。
第１段階評価で問題のあった場合には、再度第２段階の面接試験を受けていただき最終評価を行うこともあります。なお、共通問題は腫瘍、生殖、周産期、一般の４分野から作成します。その形式については、すでに機関誌「研修コーナー」に前年度の問題とそのポイントが掲載されておりますので、熟読しておいてください。本年度も同様な形式の問題を作成する予定です。
本試験は受験者の思考過程の系統化、創意表現能力、問題解決能力などをみるものであり、決して落とすための試験ではありません。研修記録や症例レポートでは記載法、知識について確認します。また共通問題では知識、技能、態度などをくみ取り、評価いたします。特に症例レポートの３症例については十分内容を把握し、設問に回答できるようにしておいてください。
審査結果の合否の通知は平成10年９月末日までに各申請者宛に通知いたします。認定合格者は登録申請書に登録料8000円を添えて認定医の登録を本会宛に申請してください。認定証は平成10年10月１日付けで交付されます。また平成10年度認定医認定審査合格者の氏名は本会機関誌にて公表されます。
最後に認定医制度は「認定基準の統一、明確化等により、国民に受け入れられる制度として確立」されなければならない時期にきております。医療に対して患者の知識が深まるとともに、認定医資格とはどのようなものか、患者の認識の高まりは認定医制度に更なる充実を要求してくるでしょう。更に多くの認定医が輩出し、認定医制度が社会的公認のもと、更に発展することを期待するものであります。