平成10年10月5日放送
中央情報室だより
日母情報処理検討委員会委員長 大橋 克洋
日本母性保護産婦人科医会の中央情報室は、日母本部内ならびに日母全体の情報処理に関する「効率化」などについて、企画・検討する部門です。
中央情報室には「情報処理検討委員会」があります。この委員会をさらに4つの小委員会に分け、いろいろなことが検討されてきました。その内容は、「パソコン通信」「インターネット」「事務のOA化」「医療用光カード」などです。
ここでは、主としてコンピュータなど「新しい技術」を使った事がらについて、検討されてきましたが、ここ一年間に検討されてきたことについて、各小委員会ごとに、ご紹介したいと思います。
○ 「日母ネット」小委員会
ここではパソコン通信の、 Nifty serve の専用フォーラムを使った情報交換システムを担当しています。会員間の情報交換が主として行われており、全国の会員が臨床のこと、学問的なこと、その他について情報交換をしております。
この秋から、いよいよインターネットの電子メールを使った「日母のメーリングリスト」の準備が整いますので、今後は徐々にパソコン通信からインターネットへと移行していくことになります。メーリングリストとはどんなものかについては、後でご説明いたします。
パソコン通信の場合は、Nifty など所属するパソコン通信ごとに定められた規格の中で、やりとりしなければなりません。インターネットの場合は、そのような枠がありませんので、もっとずっと自由なやりとりができます。ちなみに私自身もパソコン通信の場合は、特定のソフトを使わなければ快適なやりとりができず、大変不便をしていました。インターネットの電子メールに移行すれば、自分の好きなソフトウエアを使ってやりとりできるようになりますので、ずっと快適になると思います。
主体がインターネットの電子メールへ移行した場合でも、従来のパソコン通信ユーザは、今まで通りメールを読み書きできますので、特に不自由はないはずです。
強いて言えば、メールの量が増えた場合、パソコン通信ではメールボックスがあふれてしまうような問題はあるかと思います。
○ インターネット小委員会
昨年までは、ホームページも、プロバイダーと呼ばれる通信業者の場所借りをしていました。今年の夏頃から、日母事務局内にサーバ・マシーンを設置し、本格的な自前のシステムへと移行しました。
最初のセッテイングは業者に依頼しましたが、ホームページその他のその後のメンテナンスは、日母事務局内で専任の女性担当者が行っております。公開された日母のページはまだまだ不十分なものですが、現在、日母内部だけで見られるページを作成し、内部的な検討を行っているところです。
このような組織のホームページで、一番難しいのは、情報の公開をいかにスピーディーにやるかという点です。ホームページで公開する情報は、読むものにとって役立つ情報でなければなりません。しかし、日母のように大きな組織で公開する場合、どうしても公式見解ととられる面が多いので、事前に関連する部署での十分な吟味が必要となり時間を要します。
一方で、ホームページのメリットは「最新の情報をリアルタイムに得られること」ですから、このような相反するものを、いかに実現するかが難しいところではあります。
ホームページとともに、日母では電子メールのサーバの運用も始めました。
世の中の状況を見ましても、ホームページの方が一般受けするため、どうしても話題になりがちですが、実際業務に役立つことが多いのは、むしろ電子メールの方です。
従来のパソコン通信で行っていた会員間の情報交換も、秋からはインターネットの電子メールで行えるようになります。
事務局への連絡などは、直接電子メールで可能になりますが、会員間の情報交換にはメーリング・リストという仕組みが使われます。
メーリング・リストとは、どういう仕組みかを簡単にご説明しましょう。あるグループ名を宛先として電子メールを一通投函します。すると、そのメールは、グループに属する全員に届きますので、誰かがそれにコメントを添えて返送しますと、それは再び全員に届きます。
このような仕組みを使って、パソコン通信の掲示板とまったく同様に、大勢で情報交換や議論をすることができます。とりあえず jaog-all という宛先を作成しましたので、是非ご参加ください。申し込み方法など詳細については、日母医報に掲載されます。
電子メールの利点は FAX と共通するところが多いのですが、FAX よりもっと便利な特徴を持っています。その大きなものは、やりとりした情報を「再利用できる」という点です。
電子メールで受け取ったものを蓄積しておいて、後で検索したり、加工して再利用したりすることができますので、事務の省力化には大変大きく貢献します。色々な文書の原稿を電子メールで事務局へ送れるようになれば、再度ワープロで打ち直す必要もありませんし、少し手直ししてそのまま印刷所へ回すこともできます。
また、最近の電子メールは図や写真を貼りつけたり、ソフトウエアでさえ、メールに貼りつけて送ることのできるものがあります。すなわち、電子的に扱えるものであれば何でも、例え世界の果てであろうが、一瞬のうちに送ることができるのです。
FAX に利点を見いだされた方は、今後是非電子メールの利用を考えるべきと思います。
○ OA化小委員会
ここでは、日母事務局の省力化について検討しております。日母のコンピュータはマッキントッシュで、各職員のデスクの上にほぼ一人一台の普及率となりました。各職員が自分のデスク上で、インターネットの電子メールを送受信できるようになりましたので、特に本部・支部間や役員の間で文書のやりとりをしたり、情報伝達を極めて能率的に行う基盤が整いました。
それに伴い古くなり機能の落ちた機種は、毎年少しずつ最新型へ交換が行われています。日母事務局のコンピュータ化を始めた頃と比較し、コンピュータの価格は格段に安く高性能になりましたので、今後もこのような形で、すこしずつ新陳代謝をしていけば良いと思います。
今後の仮題はイントラネットを利用した、事務の効率化です。
○ 光カード小委員会
従来からの医療用光カードとそれに伴う情報処理の検討や、地域医療と結びついたコンピュータシステムの利用について、検討が継続されています。
これらは、現在各方面で実用化がめざされている「電子カルテ」と融合されていくことになるでしょう。
○ まとめ
いよいよ本格的に、日母としてのインターネットの窓口整備ができました。
これから全国の会員の方々に、おおいにご利用いただき、迅速な情報の交換や衆知を集めた効率的な運営へと、具体的な形で貢献するようになるでしょう。
次の段階として重要なことは、日母役員・会員の間にその便利さを理解して頂き、実務に利用して頂くことです。コンピュータ・リテラシーという言葉があります。
これは「読み書きソロバン」というような意味ですが、すでに世の中は、職業人が当然備えるべき能力として、「読み書きソロバン」に加え、「キーボードを叩ける」ことを、必須の条件としつつあります。これは、馬車や人力車が自動車に代わったように、好むと好まざるとにかかわらず時代の趨勢と言えるでしょう。
今後、日母のホームページを、一般の方々のために提供することも大変重要なことと考えております。しかし現在は、まだ内部的な利用にとりかかろうという段階でありますので、ここで蓄積したノウハウをもとに、次の段階でそのようなサービスへと拡大していくことになるでしょう。
情報処理検討委員会では、以上ご説明させて頂いたような方向で、今後も御手伝いをさせて頂きたいと考えております。