平成11年8月9日
日母支部長会より
日母産婦人科医会幹事長 田中 政信
平成11年度「全国支部長会」が、7月18日午前11時より午後4時まで、東京の全日空ホテルにおいて、全国47都道府県の日母支部長および日母役員の計87名が一堂に会し開催されました。
この会の目的は、日母を取り巻く諸問題や日母の事業を運営する上で必要な事項について報告したり、また各支部が直面する問題について、互いに連絡・協議することにあります。
「開会の辞」に続き、本年度新たに監査監事にご就任されました日本産科婦人科学会の顧問でもあります平岩敬一弁護士のご紹介とご挨拶がありました。次に新たに支部長にご就任されました12名の先生方がご紹介された後、坂元会長より「女性の権利を配慮した母体保護法改正の問題点」「多胎減数手術をどのように考えるか」「総合周産期母子医療センター設置基準の見直し」「低用量経口避妊薬に伴う処方権の問題」等についての解説があり、事を成すに当たっては自然の法則に従いよく考えて急がずに順を踏んで行うことが大切である、とご挨拶がありました。
次に、新家副会長の司会で各担当部からの報告に移りました。
総務部の庶務は市川担当常務理事から、本年の日母産科婦人科大会は10月16〜17日に、坂元正一日母会長を大会長として本部主催で東京の都市センター会館で、日母創立50周年記念式典も一緒に開催する旨の報告がありました。また、来年は北海道ブロックが札幌市で、再来年は北陸ブロックが富山市において開催予定であるとの話もありました。
総務部の法制・倫理は白須担当常務理事から、本年度から倫理委員会が設置された経緯や、日本医師会から「母体保護法指定医師基準モデル」が示されたことにより、各都道府県医師会で実情に応じた基準を作成して欲しい旨、母体保護法改正の問題点に関する日母提言案についての説明が行われました。
経理部は飯塚担当常務理事から、本年度の予算は会員数の減少に伴い会費収入は減るが事業の縮小には繋がらないように努めたい旨の説明がありました。
学術研修部は寺尾担当常務理事から、研修ノートのテーマについて、本年度は(母体救急疾患・こんな時どうする)と(高齢女性のケア)を、平成12年度は妊婦・胎児管理シリーズとして(妊娠中毒症)を、女性のケアシリーズとして(女性の美容医学・いつまでも美しく)をそれぞれ発刊予定であり、研修ニュースに関しては適時発刊し、低用量経口避妊薬、母体血清マーカーについて、近々発刊する予定である旨の説明がありました。
医事紛争対策部は市川担当常務理事から、陣痛促進剤による被害を考える会からの要望書に触れ、インフォームドコンセントの重要性を述べ、更に鑑定人推薦依頼についてや小冊子「これからの産婦人科医療事故防止のために」の発刊についての説明がありました。
医療対策部の医療対策は佐々木副担当常務理事から、来年2月6日に全国支部医療対策担当者連絡会を開催予定であることや、回答率90%以上である日母・定点モニター制度を今後も継続し、本年も医療費の調査等を行う旨の事業計画を含めた説明がありました。
医療対策部の産科看護は佐々木担当常務理事から、研修学院の現況について本年の入学者数は370名で、その内訳は助産婦・看護婦106名准看護婦264名であったことや、学院数は現在56校あり30学院が開校中で26学院が休校中であること、また、全国日母産婦人科看護研修学院卒後研修会を10月16日に東京で開催する予定であるとの説明がありました。
勤務医部は西島担当常務理事から、JAOG Information の発行および委員会活動とその進捗状況についての説明がありました。
社会保険部は白須担当常務理事から、産婦人科外来診療加算の新設や特定疾患療養指導料適応疾患の拡大、さらに産科手術点数の改定等15項目について、平成12年度診療報酬点数改定に関し日本医師会に要望書を提出したことや妊娠・分娩給付のあり方についての説明がありました。
広報部は松井担当常務理事から、日母医報の編集方針や、厚生省・裁判所等では既に医報に掲載された記事は全会員に伝達されたと解釈されている事などについて説明がありました。
女性保健部の母子保健は清川担当常務理事から、総合周産期母子医療センター設置基準について(9床以上が6床以上になったこと)(必要に応じ個室とすること)等の見直しが行われたことや、労働省の母性健康管理指導事項連絡カードの普及に努めること等の説明がありました。
女性保健部の先天異常は住吉担当常務理事から、平成10年度外表奇形等統計調査結果につき調査マーカーに心奇形を入れたためか心奇形が増加傾向にあるので追跡調査する旨や、母体血清マーカー検査に関して「積極的に知らせる必要はない」とする見解について説明がありました。
女性保健部のがん対策は永井担当常務理事から、全国支部がん担当者連絡会を11月14日に開催予定であることや、乳がん検診用マンモグラム読影に関する研修会を行い大変良い成果を得た旨の説明がありました。
女性保健部の予防医学・介護は田辺担当常務理事から、日母性教育指導セミナーが7月4日に東京都支部担当で開催され594名の参加があったことや、来年は和歌山県支部が担当し7月2日に開催予定であること、さらに低用量経口避妊薬についての説明がありました。
中央情報室は力武副担当常務理事から、日母ホームページの充実や日母メーリングリストについての説明がありました。
献金担当連絡室は力武担当常務理事から、献金事業の推進についてや、全国支部献金担当者連絡会の運営についての説明がありました。
午後は、司会を総務部担当の市川常務理事に代わり、引き続き支部提出議題に入りました。秋田の村田支部長よりNSTと超音波の適応拡大について議題提出があり、それぞれ平成12年度診療報酬点数改定の要望事項に入っていることや日産婦と検討し考慮するとの回答が担当部からありました。次に、佐賀の上野支部長より性犯罪被害者の診察料等について議事提出があり、被害者支援の立場から各支部で警察と検討して欲しいとの回答が本部よりありました。また、和歌山の天津支部長より低用量経口避妊薬につき処方権・検査等の問題を含め対応策について議題提出があり、各支部で対応して欲しいとの回答が担当常務理事よりありました。さらに、鳥取の長田支部長から少子化対策として不妊治療の費用援助について議題提出があり、学問的根拠をも含め日産婦に申し出ている旨の回答が本部よりありました。福岡の安部支部長からは来年4月からのチャイルドシート義務化について新生児はどのように対応すればよいのか日母として免除規定を然るべき部署に働き掛けて欲しい旨の要望があり、常務理事会で検討することになりました。
支部長との懇談では、「女性の権利を配慮した母体保護法改正の問題点-多胎減数手術を含む-」日母提言案を会長が解説されました。福井の松田支部長から未成年者同士の場合の同意や女性が未成年で男性が成年の場合の扱いはどのようにすればよいかとの質問があり、本邦では親権者の同意が必要か否か会員のご意見を伺いたい旨の回答がありました。栃木の上地支部長から青少年保護育成条例との関係について質問があり、諸外国では生殖に関しては15歳以上が多いとの回答がありました。
最後は「女性の権利を配慮した母体保護法改正の問題点-多胎減数手術を含む-」に関して、公開討論会を予定しているので各支部で会員の意見を聞いておいて欲しい旨、会長から要望があり、活発な討議が交わされつつ閉会となりました。