平成12年4月17日放送
平成12年度日母事業計画について
日母産婦人科医会副会長 高橋 克幸
平成12年3月26日の日母代議員会において、平成12年度の事業計画が承認されました。
昨年4月に新しい執行部がスタートしましたので、日母の事業計画も本年度は2年目に当たりますから、継続事業が多いのですが、新規事業も少なからず盛り込まれております。
始めに総務部ですが、本年度より定例代議員会ならびに総会を年2回開催することになりました。また、定例理事会も年6回開きますので、いろいろな問題の審議が促進され、事業も効率よく実施されることになります。また、新入会員に対し、「会員必携」の他、社会保険研修関係、医事紛争処理関係、更に大学教授や医局員、研修医にも人気の高い「研修ノート」と「研修ニュース」などの贈呈を行い、教育や診療に活用して頂くと共に、日母のもつactivityを理解してもらうことになりました。
母体保護法が国会の場でも取り上げられていることより、母体保護法の本格的改正に向けて、本会として法制化にむけての試案を作るため、法制検討委員会を存続させ、審議をはじめております。
本年度は4年に一度ずつ発刊している日産婦・日母会員名簿の作成の年です。日産婦側の委員と協同で名簿を作成し、12月までに会員各位にご案内するように致します。
これまで、日産婦認定医制度の発足以来、これまで日産婦研修シールと日母研修シールが一緒に出されていました。しかしながら、母体保護法指定医師の資質の向上を図るため、今年度より、研修を受講した証明としての「日母研修シール」を個別に発行することにしました。詳細につきましては、日母医報をご覧になるか、日母各支部にお尋ね下さい。
日母の予算決算の審議に十分に時間をかけ、納得のいく予算の執行と決算のチェックを行うために、代議員会内に予算決算委員会を設置することになり、今度の代議員会から機能をスタートさせました。
学術研修部の事業ですが、平成12年度の研修テーマは、既にお知らせしましたように産科関連は「妊娠中毒症」No.64、女性のライフケアシリーズは「女性の美容医学-いつまでも美しく」No.65を取り上げ、分担執筆中で妊娠中毒症は現在校正の段階にきており、両方共本年度中に会員に配布できる見通しです。平成13年度の研修テーマは「新生児のプライマリケア」と「不妊症のケア」に決まり、現在執筆者の選定を行っているところです。昨今の医療状況を鑑みるに、医事紛争に関わる問題などには、早急に対応しなければなりませんので、本年度も「研修ニュース」を適宜継続発行するほか、日母医報の学術欄を充実させ、新しい、有益な学術研修情報を提供してまいります。
医事紛争対策部は、医療事故防止こそ医事紛争をさける基本的理念であるという観点より、本年度は第11回全国支部医事紛争対策担当者連絡会を開催し、情報の交換を行うと共に、いろいろな問題点についての協議を、本年11月23日行うことにしています。対策部では、研修メモ「産婦人科医療事故防止のために」の改訂や、平成11年から12年にかけての医療事故をまとめた事例集を作成し、医事紛争の実態を知り、防止に役立てるようにするほか、診療録開示に関する問題点の検討を医療対策部と合同で行うことにしています。
医療対策部ですが、平成12年度は少子化や高齢社会の進行する中で、産婦人科医の果たすべき役割や抱える問題を明らかにし、検討を行うために(1)病診連携のあり方の検討、(2)新規開業施設の実態調査などを行います。また、診療情報開示に耐えうる日母様式「カルテ」モデルの作成および患者指導票の見直しと普及の検討をはかります。少子化対策、後継者問題、外国人分娩の取り扱いなど、医療対策が企画している事業は多岐にわたっておりますので、会員の協力のもとに、事業を遂行していく所存です。
産科看護部では、日母産婦人科看護研修学院のあり方の検討を引き続き行う一方、現在学院の有する問題点を解決するため、具体的な対策の検討をします。そして、本年度は3年振りに全国日母産看連絡協議会を開催し、各学院の現状や授業内容、学院生増加のための対策など、各担当者が直接協議し、産婦人科医療従事者の質の向上をはかりたいと考えております。
勤務医部の事業は前年度の事業の継続が殆どですが、産婦人科医の中に占める勤務医の割合は年々増加している上、産婦人科への入局者は減少したまま、増加の兆しが見られておらず、更に、医師全体に言えることですが女性医師が増加しています。現在は、男女共同参画という社会環境ですので、女性勤務医の有する諸問題を検討し、女性が働き易い環境の整備のための提言を行うことを重点事業に据えています。これまでも、産婦人科新入医局員増加のため、いろいろなことを試みてまいりましたが、昨年行った産婦人科研修指定病院の日母ホームページ掲載の充実をはかる一方、産婦人科勤務医の業務負担と他科のとの比較の調査結果を小冊子にまとめますので将来の待遇改善の資料にして頂きたいと思います。
会員の医療収益に直結する社会保険部の事業は、産婦人科診療報酬の適正化に向けての検討は引き続き行うが、今年度は診療報酬改定の年ですので『医療保険必携 - 診療報酬点数運用のための留意事項』の新版を作成して全会員に配布致します。今年の診療報酬改定は僅か0.2%のアップですので、人件費や物価の伸びを考えると実質マイナスになるおそれもあります。産婦人科にとって、最善の診療報酬点数を実現するため、今後も努力してまいります。疑義解釈についての解説と会員への伝達をスピーディーに行う必要もありますので、全国支部社保担当者連絡会の開催、ブロック及び支部からの診療報酬についての要望も検討し、関連機関と協力して実現をはかりたいと思います。
広報部の事業計画は、例年通り機関誌「日母医報」「JAOG news」の企画、編集、発行を主な業務としますが、今年は久しく途絶えていた、産婦人科教室めぐりを掲載する共に、中央情報室との座談会を開き、電子メディアとの交流をはかり、より充実した日母情報の発信を行います。
女性保健部の中の母子保健関係の事業としましては、昨年に引き続き周産期医療施設の不足の背景やその実態について検討を行うことの1つとして、新たに地域周産期母子医療センターの現状調査やオープンシステム実施検討委員会の設置ならびにアンケート調査を行います。先天異常では従来の外表奇形調査の継続に加え、平成11年度調査結果の報告書を作りますが、今年は更に、全国における妊婦感染症検査の実態調査をします。がん対策では今年は全国支部がん対策担当者連絡会を開催すると共に、がん検診事業に対する国庫補助金の一般財源化や地方分権による混乱をふまえて、子宮がん、乳がん、卵巣がん検診の調査を行います。予防医学・介護部門では、昨年からの継続事業のほかに新規事業として、性教育講演用資料として、スライドや冊子の作成、並びに既に書籍として出ている性教育と家族計画の指導指針の後継冊子の作成を行います。
中央情報室では、昨年に引き続き日母ホームページの提供と充実をはかってゆきますが、本年度は既に述べました広報部との協力を積極的に行うと共に電子メールの有効活用についても検討し、メーリングリストの常設、人工妊娠中絶実施報告書の電子化を企画しております。
献金担当連絡室は、日母おぎゃー献金基金と協力して、社会から高い評価をうけているおぎゃー献金活動をより活発にしてまいりますが、国際的にもPRして、WHOやIAMANEHの活動に協力できればと思っております。
以上、平成12年度の日母各部の事業計画の概略について説明申し上げました。社会の変化に対応し、常に進歩、発展を目指して、社会のため、会員のため、執行部は本年度も最大の努力をしてまいりますので、会員一同の変わらぬご協力をお願い申し上げます。