平成13年7月30日放送

 日母支部長会より

 日母産婦人科医会幹事長 田中 政信

 

 平成13年度「日母支部長会」が7月8日午前11時より午後4時まで、東京の「京王プラザホテル」で全国47都道府県の支部長および本部役員の計92名が一同に会し開催されました。

 この会の目的は、日母を取り巻く諸問題や事業を運営する上で必要な事項について報告したり、支部相互の緊密なる連携を図り、各支部が直面する問題について互いに連絡・協議することにあります。

 「開会の辞」に続き、本年度、新たに支部長に就任された8名の先生が紹介されました。清川常務理事が司会をされました。

 最初に坂元会長よりご挨拶がありました。挨拶の中では、「勝れた個人の集積は医療の未来に掛ける望みである」と前置きされ、わが国の医療費に触れ、フィンランドの介護を例に1人で介護ができる間は家で、2人で介護をしなければならなくなった時は施設で行うことや、母子のケアー、保育所のこと、義務教育前の教育費などについても話されました。最後に、虐待等キレナイ教育につき、脳の解剖を神経病理学的な面から触れ、ゲーテの最期の言葉「もっと光を」を例に、我々は時間の使い方を考え、IT時代であるが、もっと人との有効なコミュニケーションをはかり、「待って望む今日一日であってはいけない。たった1つでも良い、動いて近未来に備える一日でなければならない」と結ぱれました。

 会長の挨拶に続き、連絡・協議に移り、総務部の庶務は、清川常務理事が、日母産婦人科大会の開催地や本大会につき「あり方検討委員会」を設置し、多角的に検討を行うとの説明がありました。

 総務部の法制・倫理は、白須常務理事が、日母研修参加証の昨年度の交付枚数は7万924枚であったこと、代理懐胎について日母会員は国の結論が出るまでは実施しないことを日母医報7月号に掲載したので遵守戴きたい旨や定款改定の進捗状況説明がありました。

 経理部は飯塚常務理事から、本年度の予算概要説明がありました。

 学術研修部は、寺尾常務理事から、研修ノートにっきCD-ROMにもすることや、来年度はWHOからでた分娩ガイドに対し日母の姿勢を示す意味も含め、「分娩管理、よりよいお産のために」と「感染とパートナーシップ」を発刊する等の説明がありました。

 医事紛争対策部は、川端常務理事が、インシデントレポートや、小冊子「これからの産婦人科医療事故防止のために」のシリーズとして5つのインフォームド・コンセントを発刊すること、鑑定人推薦依頼の対応。また、日本法医学会等の「異状死のガイドライン」や、硫酸マグネシウムの能書改訂に伴う注意説明がありました。説明に対し、寺内徳島県支部長と福嶋福岡県支部長からインシデントレポートの法的保護や、司法制度改革に伴う鑑定人推薦について地方や日産婦学会および日母の関連につき要望があり、日母と日産婦学会で小委員会等を設置して対応する旨の回答がありました。

 医療対策部の医療対策は、飯塚常務理事が、全国支部医療対策担当者連絡会や、定点モニターの継続、産婦人科診療費調査、日本助産婦会へのアンケート調査等について報告・お願いがありました。

 昼休みに、本年10月13-14日に開催される「第28回日母産婦人科大会」の進捗状況説明が新居富山県支部長から、来年度の本大会に関し、牛島熊本県支部長から説明があった後、午後の連絡・協議に入りました。

 まず、医療対策部の産科看護は、大村常務理事が、「全国日母産婦人科看護研修学院卒後研修会並びに産婦人科看護従事者研修会」のプログラム説明と厚生労働省区政局長からの「日母産婦人科看護研修学院の運営の改善等に関する通達」の回答について解説がありました。これに対し、松岡大分県支部長から無資格云々は、いつ頃研修修了した人か、実態調査は無資格者のみか等の質問があり、かなり以前の人であることや、資格に関係せず研修終了者全員の調査である旨の回答でありました。

 勤務医部は、西島常務理事から、JAOGインフォメーションの内容及び委員会活動とその進捗状況の説明がありました。

 社会保険部は佐々木常務理事が、平成14年診療報酬点数改定に関する産婦人科の要望につき、日本医師会と社会保険診療報酬検討委員会あてに、1)卵巣機能不全、卵巣機能欠落症、閉経期及びその他の閉経周辺期障害の特定疾患療養指導料適応疾患の拡大、2)膣洗浄、創傷処置、術後創傷処置等、52点以下の処置料の改定、3)点数の新設として外陰・膣血腫除去術の3つを重点要望項目として提出した旨の説明と、妊娠・分娩における保険診療上の取り扱いの小冊子にっいての説明および妊娠22週以降の超音波パルスドップラー法の社会保険適応症について子宮内胎児発育遅延、妊娠中毒症、多胎妊娠、Rh不適合妊娠、羊水異常症の5つが適応であり、8月診療分9月請求分から施行する旨の説明がありました。

 広報部は亀井常務理事から、本年度事業について、「日母医報」の使命や編集方針、中央情報室との連携等の説明がありました。

 女性保健部の母子保健は、朝倉常務理事が、小規模事業所・母性健康管理電話相談体制事業と産婦人科医・小児科医地域連携事業、出産前小児保健指導いわゆるプレネイタル・ビジットのモデル事業実施についての説明がありました。西野大阪府支部長から費用に関する質問があり、配分は日母本部から各支部に配分し担当者個人に配分するのではない旨の回答でした。また、松岡大分県支部長から、本事業の大分県の実情について追加発言もありました。

 女性保健部の先天異常は、朝倉常務理事が、平成12年度の外表奇形等統計調査結果解説や、若年層で風疹抗体がある人が少ない傾向なので検討したい旨の説明がありました。

 女性保健部のがん対策は、永井常務理事が、全国支部がん対策担当者連絡会のことや、第5回乳がん検診用マンモグラム読影に関する研修会を8月18-19日に大阪府で行うことの説明がありました。

 女性保健部の予防医学・介護は、田辺常務理事が、性教育実態調査を行い、支部での活動の参考にしたい旨や、本年度の性教育指導セミナーは7月1日に宮城県支部担当で開催され、440名の参加があったこと、来年は神奈川県支部担当で、7月7日に開催予定であること、さらに、低用量OCについて診療の場で実際に使用し得る小冊子を作成すること等の説明がありました。

 中央情報室は力武常務理事から、日母ホームページや日母メーリシグリストの現況につき説明があり、紺谷石川県支部長から良くない内容が載ることがあるとの質問に対し、現状ではチェックできないので会員の良識を望むとの回答でありました。

 献金担当連絡室は力武常務理事が、献金事業の推進方法や、献金が減少していること、全国支部献金担当者連絡会等の説明がありました。

 引き続き支部提出議題に入り、司会を白須常務理事に代り、水上静岡県支部長より、分娩料と社会保険との関係で、少しのことでも請求してくる例があるとの質問に対し、今までの日母見解を遵守して欲しい旨の回答でありました。次に小林東京都支部長より、胎児医療保険について検討して欲しい要望がありました。

 最後に支部長との懇談会と題して、日母産婦人科大会のあり方につき、兼元北海道支部長は、日母と大学の関係を考慮した動きが必要。柿木鹿児島県支部長は、おぎゃー献金の配分を受けた研究発表を必ず行う。松岡大分県支部長は、財政を考慮し卒後研修を見据えた中身とし、若年層の参加者を多くする工夫が必要である。西野大阪府支部長と大石鳥取県支部長は、会員が少ない所は合同で行うか内容を考慮して臨床大会のようにしては如何か、新居富山県支部長は、担当は現実にはブロックではなく支部であり、前例に倣うしかないが、名称等も考慮する必要がある。平野岡山県支部長は、簡素化して会費を安くする必要がある。最後に高橋副会長からも発言があり、集約すると全て「財政と講演形態」の問題でありました。