平成13年8月27日放送

 日母産婦人科大会

 第28回日母産婦人科大会会長 新居 隆

 

 全国の日母会員のみなさま、こんばんは。富山県支部長の新居隆でございます。本日は1ヶ月後に迫りました第28回日母産婦人科大会のご案内を申し上げます。

 今年の日母大会は北陸ブロックの担当で富山市において開催されます。期日は10月13日14日、会場は富山市に新しく建設されました富山国際会議場を予定しております。

 さて、皆さまには日母医報を通じて、すでにご案内申し上げておりますが、時間の流れに沿って申し上げますと、10月12日に親睦ゴルフ大会を富山市の名門コース、呉羽カントリークラブで開催いたします。10月13日には午後1時より生涯研修プログラム、この前半には教育講演として北陸ブロックの産婦人科教授4名からそれぞれの専門分野における臨床的な視点でご講演をいただくことになっております。後半にはシンポジウム「早産を考える-産科医は早産を予防できるか-jをテーマに、この方面で現在指導的な立場にあってご活躍の先生方に熱のこもった議論を展開していただき、早産予防の臨床指針を我々に示していただけれぱと思っております。生涯研修プログラム終了後には、隣接します全日空ホテルで午後6時半より懇親会を開催いたします。富山県の海の幸を精一杯ご用意しておりますので、奥様方も是非ご一緒にご参席下さいますよう心からお待ち申し上げております。翌14日、日曜日には午前9時より日母大会開会式を執り行い、坂元会長・日医坪井会長・日産婦荒木会長からのご挨拶・お祝辞を頂戴いたします。これにひきつづいて、「21世紀の周産期医療」と題しまして、特別講演がございます。昼食を挟んで午後2時まで7名の方々のご講演を拝聴いたします。すこし欲張りな企画ではありますが、我々が背負っている今後の周産期医療の課題を網羅いたしました。これからの周産期医療がどんな姿になっていくのか、どのように周産期医療をつくりあげていくべきなのか、明るい展望と夢をもって全体像を描くことができれば幸いに存じます。特別講演に引き続いて閉会式となりますが、次期開催地熊本県支部長に大会旗をひきつぎ、ごあいさつをいただきます。おかえりの飛行機の時間が大変気になるところではありますが、富山空港まで会場よりバスをご用意いたします、どうか最後までゆっくりとご参加下さいますようお願い申し上げます。

 さて、時間的にきつい学術研修のプログラムにきっとお疲れになるとはおもいますが、秋の富山の自然の美しさ・雄大さ、そしてまた富山の文化にもぜひ触れていっていただきたいと考え、会員一同議論の末に、3つのツアーをご用意いたしました。富山県は豊かな美しい海と雄大な北アルプスを持つ国であります。氷見はいにしえより越の国、つまり現在の富山の有数の漁港でありまた、ここから、雪をいただく立山連邦を望むことができますが、このように海から3000メートル級の山々がそびえ立つ様は、世界に類を見ない絶景であります。この富山の海と、山奥深くに1000年の歴史と文化を培って参りました五箇山は世界文化遺産にも指定されておりますが、この五箇山を結んで、大会終了直後より一泊二日のツアーをご用意いたしました。また、これに先立つ10月13日にはご存じ黒部峡谷を、トロッコ電車にのって、奥深い急峻な渓谷の、燃えるような紅葉をお楽しみいただく「秋の宇奈月と黒部峡谷トロッコ電車」を計画しました。またもうひとつ、「秋のパノラマ・アルペンルート」も同じ日に、こちらは標高3000メートルをバスで一気に昇り平野部の初秋から、中腹の樹林帯の真っ盛りの紅葉をおたのしみいただき、ゴールは、初雪をかぶった北アルプス立山連峰の頂上直下までご案内いたします。いずれも日本を代表する山岳地帯の、美しくも雄大な秋をご満悦いただけるものと思います。このほか、富山には風の盆と和紙で有名な八尾、江戸の昔から営まれてきた売薬さん遠の歴史、縄文時代の巨大建築の遺跡など多方面にわたる観光ポイントがございます。是非お楽しみ下さい。

 日母大会を富山県で開催するにあたり、新潟・石川・福井の3県はもちろん、全国の会員の先生方から、この大会をどのように作り上げて行くべきか、いろいろご意見をいただきました。現在富山県は若い会員、勤務医会員が中心となって支部を運営しております。日毎大会のあり方についてはさまざまなご批判も巷間聞こえて参ります。しかし毎年の大会のプログラムはいずれも大変内容のある、参加するに価値のあるものでありました。問題はなぜ、幅広い参加者がないのかと言うことであります。私どもは、若い会員や勤務医会員に、一人でも多く参加していただき、日母大会の「よさ」を評価していただければと思い、勤務医会員を中心にプログラムの検討をして参りました。富山医科薬科大学産婦人科斉藤滋教授をリーダーとして会員が知りたいこと、関心を持っていることを課題に選ぼうと会議を重ね、ご案内のような企画をつくりあげたわけであります。

 ベテランの先輩方から新進の若い先生方まで、また日母会員になっていない産婦人科勤務医の方々にも是非このような大会があることをお知らせいただき、幅広い、多数のご参加を得たいと思っておりますので重ねて、ご宣伝いただきたく存じます。

 今大会の全体のテーマは「語り合おう、新世紀の母と子の絆あいの風ふく越の国で」としました。学会などに参加してもじっくりとした議論を聞く機会も少なく、難しい学問の世界に、臨床医としてはときに虚無感さえ感じることがあります。現実に深く関わる情報の交換を望んでいる会員も、多数おられると思います。ざっくばらんに語り合える交流の場としてこの大会が機能することをわたしは願ってやみません。

 さらに、新しい日本を再生させるためには子供達を心身共に健康に育てることが最も大切な最初の課題であることは言うまでもありません。その子供達を育てるキーパーソンは、母親です。しかし毎日のように報道される親子の悲しいできごとや、不安・悩みはますます膨らんで来つつあるようにさえ見えます。我々産科医は子供達が母親とはじめて特別の人間関係「絆」を結ぶ場をささえている専門家であります。専門家としての使命は今後どのように果たしていくべきなのか、我々自身が戸惑いを感じるような医療の困難な現実もあります。この第28回大会において、このような重大な課題に対して回答の糸口をひとつでも見つけることができれば大会は成功したものと私は思います。

 テーマの最後に加えました「あいのかぜ」は、万葉の時代から「あえのかぜ」「あゆのかぜ」ともよばれ、豊漁をもたらす風として日本海側で古来より言い伝えられてきた東から吹く強い風のことであります。しかしまた、ときに大きな災いをもたらす風としておそれてもきました。「あいのかぜ」に寄せて、私たちは大きな災いに備えつつ、それよりはるかに豊かな幸を私たち産婦人科医のためでなく、世界の子どもと母親たちのために獲得できるように日々努めなくてはなりません。

 この大会がそのようなチャンスの始まりになることを祈りつつ、大勢の皆さまのご参加をお待ち申しております。