平成13年12月24日放送全国支部総務担当者連絡会より
日本産婦人科医会幹事長 田中 政信
平成13年度「全国支部総務担当者連絡会」は、12月9日午前11時より午後4時まで東京の「京王プラザホテル」において、全国47都道府県の担当者及び本部役員の計98名が一同に会し開催されました。
この会の目的は、7月に行われた「全国支部長会」以降の本会活動や本会を取り巻く諸問題について報告し、さらに、各支部が直面する問題などを互いに連絡・協議することです。
「開会の辞」のなかで市川(総務担当)副会長は、本会の名称が「日本母性保護産婦人科医会」から「日本産婦人科医会」になり、事務所も移転し、会議室も広くなり、以前にもまして機能的になった話がありました。また、日本産科婦人科学会との関係では、ワーキンググループを立ち上げ、両会の問題点などをより一層精力的に検討し始めたことについて説明がありました。
次に、坂元会長は今後の医療政策とくに「母子保健事業のあり方」などに触れ、本事業をより充実させるにはマンパワーの問題や卒前・卒後教育の重要性について力説し、本会会員にとり、何をどうすればよいのか、目的の出口を示唆し、導かなければならない旨を挨拶のなかで述べられました。
続いて、清川(総務正担当)常務理事の司会で谷口隆・厚生労働省雇用均等・児童家庭局・母子保健課課長から「国の母子保健対策」と題して、母子保健対策の現状について、妊婦健診や乳幼児健診の健康診査、プレネイタルビジットや乳幼児への虐待などについての保健指導、また未熟児養育医療の1つとして病棟保育士配置事業などの療養援護、周産期医療ネットワークなどの医療対策について、その時期と内容の要旨を解説されました。さらに、母子保健全体の施策である「健やか親子21」の今後10年間での思春期・妊振出産期・新生児期・小児期の4つの課題と目標についての話がありました。平成14年4月の身体発育値の改訂に伴う母子健康手帳の改正では、父親の育児参加の促進、子育て支援、妊娠中の薬・喫煙・飲酒・葉酸について、母性健康管理指導事項連絡カードの雛型を入れること、予防接種の勧奨などが改正の要旨である旨の説明がありました。そのほかにも、生殖補助医療、新生児聴覚検査事業、周産期医療体制のネットワーク整備についてなど解説されました。
昼食の後、白須(総務副担当)常務理事の司会で各担当部からの報告に移りました。
総務部(庶務)は清川常務理事から、税制改正の基本的な部分は日本医師会が提出しているので、本会に直接関係する少子化対策への積極的支援と関連事業などへの減税措置の実施を含めた5項目について、平成14年度税制改正要望書を自民党に提出したことの説明がありました。次に田辺常務理事から、日本産科婦人科学会・専門医制度の研修出席証明シールが、平成14年4月から他学会との整合性の面も考慮して単位制となり、現在のAシールを10単位、Bシールを5単位とすることや平成15年からは筆記試験も導入される旨の説明がありました。
総務部(法制・倫理)は白須常務理事から本会の定款が変更になり、名称が日本産帰人科医会に変わったことや、正会員をもって民法上の社員とし、総会は代議員をもって構成することになったなどの概要の説明がありました。
経理部は飯塚常務理事から平成13年4月から10月までの収支実績報告があり、執行率は収入93.3%、支出42.5%であるなどの説明がありました。
学術研修部は寺尾常務理事から研修テーマは、平成14年度は「母体保護法に関する諸問題」と「分娩管理-よりよいお産のために-」および「感染とパートナーシップ」を、平成15年度は「母体保護法に関する諸問題」と「妊娠と感染症」および「内視鏡下手術」とし、それぞれのテーマに沿った研修ノートを発刊予定である旨の説明がありました。
医事紛争対策部は川端常務理事から「産科診療所・病院におけるインシデント・アクシデント/レポート」調査を会員の協力により行い分析する予定であること、法改定により鑑定人推薦の手順が多少異なることになったこと、およびオキシトシン、ジノプロスト、プラステロン硫酸ナトリウム、硫黄マグネシウム・ブドウ糖の使用上の注意に多少追加事項が改訂された旨の説明がありました。
医療対策部(医療対策)は佐藤常務理事から、産婦人科自費診療費などの調査結果やカルテ開示についてなどを骨子とした全国支部医療対策担当者連絡会を平成14年2月3日に開催する旨の説明がありました。
医療対策部(産科看護)は大村常務理事から、厚生労働省からの「日母産婦人科看護研修学院の運営の改善」などに関する通達およびそれに対する本会の回答についての説明がありました。
勤務医部は西島常務理事から3つの小委員会がそれぞれアンケート調査を行い、その検討結果は12月にJAOG Information No.33として発刊した旨の報告がありました。
社会保険部は佐々木常務理事が先月29日に決定した政府の医療制度改革大網に触れました。その主な内容は診療報酬に関しては引き下げの方向で検討し措置するなどマイナス改定になる可能性が大きいことや、高齢者医療の完全定率1割負担、高額医療費の自己負担限度額のアップなどです。また、本会から提示した「妊娠分娩における保険診療上の取り扱い」について、初診料と再診料の徴収方法や保険診療と自費診療のカルテの分離および分娩費の考え方について解説がありました。
広報部は亀井常務理事から日母医報の名称が「日産婦医会報」となることや事業の進捗状況についての報告がありました。
女性保健部(母子保健・先天異常)は朝倉常務理事が、平成13年度「小規模事業所・母性健康管理電話相談事業」の実施状況について、3ヶ月間に全国で95件あったことや平成14年4月から母子健康手帳が改正されること、平成12年度外表奇形等統計調査結果について近年の傾向として母親の年齢別奇形児出産頻度で40歳以上では減少傾向であるが、20歳未満では増加傾向にあることの説明がありました。また、平成6年に予防接種法が改正され女子中学生に対する風疹の予防接種が義務ではなくなり、その頃の女性がそろそろ妊娠年齢になったため、妊婦風疹抗体価の実態調査・解析を行い、対応策を検討する旨の説明がありました。
女性保健部(がん対策)は永井常務理事から、11月に行われた関連学会についての報告と第6回乳がん検診用マンモグラム読影に関する研修会を平成14年2月9日と10日の2日間横浜で行うことについての説明がありました。
女性保健部(予防医学・介護)は田辺常務理事が、平成13年度の性教育指導セミナーが宮城県で盛会に行われたこと、14年度は神奈川県で開催予定であること、更に性教育の実態調査を実施中である旨の説明がありました。また、小雑誌「わたしのピルノート」を発行したこと、および介護事業への産婦人科医の関わりを検討中であるが、なかなか難しい状況であるなどについて説明がありました。
中央情報室は佐藤常務理事から、各支部のシステム現況調査結果について説明があり、電子文書で対応可能な支部は87%であったことやメールアドレスの様式を整備し、有効活用し易い方向で検討したい旨の説明がありました。
献金担当連絡室は力武常務理事が、平成12年度は143,151,105円の浄財が集まり、施設・研究費として配分を行ったことや、2名の匿名献金者の新聞報道を行ったところ反響があり、さらに匿名者が3名僧えたことについての話がありました。日母の名称・住所の変更に伴い、「財団法人日母おきやー献金基金寄付行為」の一部変更については、住所や日本母性保護産婦人科医会を日本産婦人科医会に変更するに留め、日母おぎゃー献金基金の名称は変えない方針である旨の説明がありました。
引き続き支部提出議題に入り、司会を総務部正担当の清川常務理事に代り、岩手の三浦先生より、盛岡市では4月から胆道閉鎖症の1ヵ月児健診時スクリーニング検査を無料で開始した旨の報告がありました。茨城の石渡先生から茨城と栃木も3年前から開始し、ともに12例発見され治癒率は50-80%であり、発見が早いと治癒率が高い旨の追加発言がありました。次に三重の二井先生から母体保護法指定医の更新や代議員定数についての質問あり、それぞれ担当常務理事より、回答がありました。
最後は中澤(総務担当)理事の閉会の辞をもって閉会となりました。