平成14年7月8日放送
第54回日本産婦人科医会通常総会より
第54回日本産婦人科医会通常総会副議長 上地 弘二
第54回日本産婦人科医会通常総会は、去る6月23日、東京新宿の京王プラザホテルにおいて、代議員、役員、名誉会員ら、総計113名が参集して行われました。
今通常総会は、新しい定款、定款細則、総会議事規則等が整備されて始めての総会です。
先ず田中幹事長によって資料の確認があったのち、仮議長に東京支部の小林重高代議員が選出され、第54回通常総会の開会が宣言されたのち、栃木、宮崎両副幹事より点呼が行われ、出席代議員は68名のうち、58名が出席しており、欠席者の全員から書面表決書が提出されているため、総会の成立が確認されました。
次に議事署名人として、東京支部の樋口代議員、埼玉支部の村山代議員が指名されました。
つぎに、議長、副議長の選出になりましたが、立候補者が定数以内でありましたので、選挙を省略して、議長に竹村秀雄代議員、副議長に上地弘二代議員が選任されました。
議長席に着いた私達は、それぞれの就任のあいさつをした後に、竹村議長の司会の元で議事を進めることになりました。
最初に高橋会長代行があいさつされ、昨年11月定款改定以来、始めての3月と6月の総会であり、3月は予算と事業計画についての総会であったが、6月は平成13年度の事業報告と決算が主であること。定款改定については、一部にはそぐわない点もあるかに聞いて居りますが、これも構造改革の一環としてとらえられていること。一面、会の運営上の透明性や公平さが強調されているという利点性について述べられました。
決算内容については、5年前坂元会長が、“組織の再構築”、リストラ的考えから、少ない予算で出来るだけ合理的に会の運営が出来るように、予算の縮小をはかったこと。日産婦学会では、財政面でのアンバランスが起きているため、当会改革本部をつくり、いろいろの面から、財政面の健全化のための検討を始めていること。一方、我が産婦人科医会は、現在は健全財政であるが、将来、産婦人科入局者の減少や高齢化による会費免除会員の増加等は、今のような健全財政を保証するものではなく、これからの財政の健全性を念頭に入れた重点的事業の選択、合理的な会の運営についてもこの総会で討議して欲しいと述べられました。
ついで報告に入り、朝倉理事より、妊婦風疹抗体価の実態調査についての報告がなされました。平成6年から、女子中学生へのワクチン接種が中止されました。この年齢の若い妊婦さんのうち、抗体8倍未満の割合は、20〜21歳は8% 18〜19歳は13%、17歳にいたっては27%とうなぎのぼりに増加していると警告されました。また、医療従業者でも若い看護婦・パラメディカルの方々が同じ傾向にあるので、将来感染源になりうる可能性があることが示唆されました。尚、抗体価のない妊婦さんについて、分娩後にワクチンの接種をして欲しいと要望がありました。
次いで、議事に入り、先ず、第1号議案、“平成13年度事業報告に関する件”が上程されました。147ページに及ぶ事業報告書であり、概略は産婦人科医会報の7月号を御参照頂きたいと思いますが、ここでは要点のみ述べます。
◎総務部〜白須理事
新事務所移転に伴い、会議室のスペースが広くなり、備品も充実し、複数の委員会も、同時に事務所内で開けるようになった。新しい定款改定に伴い、新しい細則により本日も会議を開催している。日母産婦人科大会も、若い先生方、臨床の第一線の先生方を研修させるために、日本産婦人科医会・学術集会と名称変更をした。学会と医会がWorking groupを組織し役割分担を行い、刊行物等も共同発送等により、経費の削減方法を模索していると報告。◎学術研修部〜寺尾理事
従来と違って、動画等を入れた、CD-ROMを作成し、新しいVisual化した研修ノートとした。すでに送られている新生児プライマリケア、不妊症のケア等について紹介。◎医事紛争対策部〜川端理事
医療事故防止のために〜インフォームド・コンセント小冊子4冊についての紹介。医事紛争個別事例対策について、各支部からの依頼があれば具体的に助言を行っていると報告。◎医療対策部〜佐藤理事
料金等の調査、少産少子化対策についての調査報告。日産婦医会様式“カルテ”モデル患者指導票について、出版社の経営上の問題で、継続不可能になったので、今後はCD-ROMを作成しているので、購入して利用して欲しい。◎勤務医部〜西島理事
勤務医の待遇に関する小委員会、産婦人科医局員増加のための小委員会の女性医師に関するアンケート調査等について報告がなされた。◎社会保険部〜佐々木理事
医療費改定で、1.3%ダウンしたことは残念。でも、実質ダウンについて調査中で、数%になるのでは?と予測。妊娠分娩に於ける保険診療上の取り扱いについて紹介。◎広報部〜亀井理事
平成14年2月号より、日母医報は日本産婦人科医会報へ。平成14年3月号より、新入会員氏名及び所属支部が掲載されている。◎がん対策部〜永井理事
マンモグラムの乳がん検診の併用と、研修会について紹介。今回7月に徳島にて研修会を開催予定。◎予防医学・介護〜田邊理事
日母性教育指導セミナーは、7月7日横浜関内ホールにて開催予定。性教育、講演用資料、スライド・CD-ROM完成。6月中に発送。◎中央情報室〜佐藤理事
我々医会も例外ではなく、コンピューターウィルスに見舞われたが、防止対策について検討中。医会のラジオ短波放送の原稿をHomepageに収録。◎献金担当連絡室〜力武理事
献金額1億4000万円。平成12年より150万円減。配分予定額より研究費申請希望施設が増加している。研究費3年以上、報告書のないところ、献金額の少ないところ(10万円以下)、これらは審査基準を厳しくして、遠慮して頂くことにした。以上、皆の報告が終り、第1号議案は理事者側の提案どおり承認されました。
第2号議案、“平成13年度決算に関する件”が上程され、飯塚理事より30分間に渡り詳細に報告がなされました。代議員13人で予算決算委員会が構成され、別室で検討。落合委員長より以下のような報告がなされました。収支バランスの増減率の大きいものについて質疑、理事者側から納得のいく説明があり、引き続き審議に入り、理事者側の提案通り全員一致で2号議案が承認されました。
さて、総会の提出議題ですが、岩手の小林代議員から、情報公開と少子化対策についての執行部のスタンスが求められました。当会も将来開かれたものにしたいとし、少子化対策については、議論はもう過ぎ、実行の段階であるという積極的な返答があった。
北海道の菊川代議員からは、1.少子化対策を性教育の中にどのようにとり入れるか?、2.少子化対策についての調査データ等を含め医会の取り組みについて提出議題がありました。
また、ペイオフや消費税についても寺内代議員や水上代議員からの提出議題があり、担当理事から返答がなされました。
最後に、東京都の樋口代議員から消費税についての追加発言があり、日本医師会側からの情報提供がなされました。
以上のような流れの中で、第54回通常総会は定刻の4時前に幕を閉じることができました。