平成14年8月19日放送
第7回乳癌検診用マンモグラム読影に関する研修会
 日時:平成14年7月27日〜28日
 場所:徳島大学医学部青藍会館・保健学科棟
 共催:マンモグラフィ検診精度管理中央委員会
    日本産婦人科医会がん対策委員会
日本産婦人科医会幹事 宇津野 栄

 

 今回は、がん対策委員会より、去る7月27日、28日の2日間にわたり徳島大学医学部青藍会館、保健学科棟で開催された第7回乳癌検診用マンモグラム読影に関する研修会について報告を致します。

 台風一過の猛暑と数十台ものシャーカステンの熱気の中、阿波踊りを控えた南国の地徳島で、2日間缶詰状態となる過酷な研修会が開催されました。受講者は地元徳島県及び関西地区の会員を中心に28名、研修会運営関係者は、本部役員、委員会、研修会講師、精中委役員等24名で合計52名が参加しました。

 本研修会は、平成12年3月の厚生省老人保健福祉局保健課長からの通知、内容は(50歳以上の乳がん検診にマンモグラフィ併用検診が原則化されて、態勢の整った地域から併用検診を導入)というものですが、その通知が出る以前から、マンモグラム読影の普及と研修会講師の育成を目的に、日本産婦人科医会がん対策委員会と日本乳がん検診学会およびマンモグラフィ検診精度管理中央委員会(精中委)との共催で平成11年度より毎年2回開催されてきました。今回で7回目を向かえますが、当初第4回までは東京都内で開催していたところ、遠方の先生方の参加申し込みが多いことや、また我々も研修会運営のノウハウにも慣れて来たことより、第5回目からは大阪、横浜、徳島と東京を離れ開催しています。研修会の内容は、精中委の規定に準拠した極めてハードで高レベルな公式研修会となっていますが 以下今回の研修会の詳細についてお話いたします。  

 研修会は第1日目:7月27日(土)午前9時からスタートし、青藍会館において関係者挨拶、研修会概要説明の後、集中講義が行われました。
 講義の内容は

  1. 産婦人科に必要な乳癌の臨床:がん対策委員会副委員長 土橋一慶先生 
  2. マンモグラフィ診断に必要な病理学的知識:徳島大学付属病院病理部部長 佐野 暢哉先 
  3. マンモグラフィの基礎:精中委 教育・研修委員会 寺田 央先生 
  4. 乳房画像診断用語の解説:精中委 教育・研修委員会委員長 遠藤 登喜子先生 

以上の4つの講義でありますが、昼食を挟んで行われましたので、午後の講義は眠気との戦いという雰囲気でした。

午後3時からは場所を保健学科棟に移して、28名の受講者を7班に分け課題別(腫瘤1・2、石灰化1・2、構築の乱れ1・2、画像評価)のグループ読影指導が行われました。暗闇の教室でシャ−カステンのフィルムに額を擦り付ける様に拡大鏡を覗き込むこと50分、1つの課題が終わると休む暇もなく次の教室へと、4つの課題が終わる頃には戸外も暗闇が迫る午後7時となり、まさに体力との勝負の1日でした。

 ここで、グループ読影指導の講師陣について紹介しておきます。講師陣は先ほど説明した様に7つの課題についてそれぞれ本講師、準講師と2人ずつ計14名の先生が指導しています。いずれの先生も、精中委認定の読影試験でA評価を得られた先生であり精中委教育・研修委員会委員長の遠藤先生より推薦していただいております。詳細については、研修会プログラムをBSデジタル放 送用に掲載しておりますのでそちらをご覧になってください。なお、研修会の当初は、講師の先生方は、放射線科、外科等の他科の先生方がほとんどでしたが、最近は産婦人科の先生も、A評価を取られた後、準講師の研修をへて本講師として活躍されています。今回の本講師7名もほとんどが産婦人科の先生でした。また準講師の先生は次回講師として指導していただくため、当研修会の目的でもある講師の育成という意味で無報酬ですが参加して頂いております。

 さて、話は研修会の第2日目:7月28日(日)に戻ります。前日の疲れを感じつつも気力を振り絞って午前8時より残る3つの課題別読影指導が行われました。7つの全ての課題が終了すると昼食後に精中委認定の公式読影試験(100分間で100症例)が行われ最後は知力との勝負でした。試験の解説、評価判定、挨拶、解散、反省会と午後4には無事研修会が終了しましたが、受講者、関係者とも最後は精も根も尽き果てたと言う印象でまさに体力、気力、知力の限界に挑戦という感じでした。

 今回の読影試験の評価判定はA評価、1名、B1評価10名と良好な結果が得られました。A評価を取られた先生には今後読影講師としての活躍を、またB1評価を取られた先生には、積極的に2次読影に参加して頂くことを期待しております。

 このようにして、2日間にわたる研修会は終了しましたが、精中委教育・研修委員会遠藤登喜子委員長をはじめ、講師並びに会場施設を無償で提供していただいた徳島大学医療短大学長の森本先生、会場準備にご足労を頂いた徳島大学産婦人科苛原教授以下医局員の先生方関係者各位のご理解とご協力に深く感謝いたします。

 医会としては、今後も年2回の研修会の開催を予定していますが、地方開催での予算の問題や受講者の参加資格、適正人数等検討すべき問題を抱えてきています。しばらくは、現行のスタンスを変えず継続していきますが、当初のマンモグラフィに対するアレルギーを取り除くべき始めた研修会の目的は達成された感があり、また最近は医会主催以外にも公式研修会は数多く開催され、また非公式のスキルアップセミナーとしての勉強会も多くマンモグラフィに接する機会はふえてきています。マンモグラフィにいっそう慣れ親しんで頂くためにも医会主催の研修会だけではなく各科の垣根を越えてそのような会に積極的に参加することを期待したいと思います。