平成14年12月23日放送
 第29回全国支部総務担当者連絡会より
 日本産婦人科医会副幹事長 栃木 明人 

平成14年度「全国支部総務担当者連絡会」が、12月8日、午前11時より午後4時まで、東京の「京王プラザホテル」において、全国各支部の担当者及び本部役員の計92名が一同に会し、開催されました。

 この会の目的は、「全国支部長会」以降の、医会活動や医会を取り巻く諸問題について報告し、さらに、各支部が直面する問題などを互いに連絡・協議することです。今年の支部長会は、総会開催期日の都合により9月に開催されました。従いまして担当者連絡会の内容は、2ヶ月の短期間でした。

 まず、「開会の辞」を高橋副会長が行い、冒頭、総務担当でありました市川副会長の3日前のご逝去に哀悼の意を表した後、本連絡会は医会活動の、この2年間の総括と、2003年に向けた事業の継続性などについて討議し、その他、医療法改正、スーパーローテート問題などの沢山の問題について、率直なご意見をお願いしたい旨のものでした。

 次に、坂元会長は、薄井監事、市川副会長、新家副会長ご令室様のご逝去に哀悼の意を表した後、次期2年は医会にとり、さらに革新の時にしたいので忌博のないご意見をお聞かせ願いたいと述べ、例えとして「事を考えるときは、戦術を考えるのではなく、戦略を考える。また、外交は来世紀の生き残りを考え、政治は金曜日の午後までの生き残りを考える」と付け加えられました。

続いて清川総務正担当常務理事の司会で、中島正治・厚生労働省医政局医事課長から「新たな医師臨床研修制度について」と題して講演がありました。平成16年4月から施行の新たな医師臨床研修制度は、医療制度改革における医療提供体制改革の一環として、医療における適切な人材の育成・確保があり、その中に医師の臨床研修必修化が位置付けられていることについて配布資料をもとに、本制度の基本的考え方、研修プログラムの概要、研修目標、産婦人科領域の到達目標、ローテーション、研修施設、研修病院の指導体制と定員、処遇、マッチングなどについて解説されました。

昼食の後、各担当部からの報告に移り、総務部の庶務は清川常務理事から、平成15年度事業計画の基本方針策定にあたり、本部としては今まで以上に、さらに「会員のための医会、会員や国民にわかる医会」を目指し、スキルアップした組織体制を検討していること。また、医会及び学会では、両会の一層の協力関係を図るため、ワーキンググループを設置して、事業の連携や分担に関して検討を進めてきたことを説明。その一つに、両会に所属している会員に対してのみ、来年1月から医会・学会の刊行物は共同発送することになったことをあげられました。なお、医会のみ、学会のみに所属されている会員は従来どおりです。

総務部の法制・倫理は白須常務理事から、研修記録手帳の配布方法について、現在は各会員個別に送付しているが、支部により一括送付の要望があり、話し合いの結果、当面は現行のままとしたこと。最近、20歳未満の人工妊娠中絶が増加傾向にあり、早急な対策が求められていることから、施策推進の上で参考とするため、来年度から年報分類の一部を改め、15歳以上20歳未満を1歳毎にすることなった説明がありました。また、プレグランディン膣坐剤報告書に、返品数量の項を新設した旨の説明がありました。

経理部は飯塚常務理事から、平成14年4月から10月までの収支実績報告があり、執行率は収入92.8%、支出44.8%であること、さらに今後、会員の減少、会費免除者の増加、新臨床研修制度に伴う、平成16〜17年度の入会者の減少などの要因による、会章収入減を予測した会計収支と、現在、具体化している節減対策など、今後の見通しについての説明がありました。

学術研修部は寺尾常務理事から、平成16年度の研修テーマは「母体保護法に関する諸問題」と「婦人科感染症とリスクマネジメント」及び「不正性器出血」である旨の説明がありました。

医事紛争対策部は川端常務理事から、全国支部医事紛争対策担当者連絡会と今後の方針や、「医療安全指針モデル」を作成し全会員に配布したこと、鑑定人リストを医会と学会の共同で作成したこと、来年度事業の研修資料を作成予定あることなどの説明がありました。

医療対策部の医療対策は佐藤常務理事から、各種アンケート調査結果を「医療と医業特集号」に掲載することや「有床診療所に対する検討委員会」を日本医師会が設置したことに対応し、医会でも早急に対応するため検討小委員会を設置した旨の説明がありました。

医療対策部の産科看護は大村常務理事から、産婦人科看護研修学院卒後研修会についてや産婦人科看護研修学院基準及び基準細則の一部変更について、さらに来年度事業計画予定などの説明がありました。

勤務医部は西島常務理事から、JAOG Informationを発刊したことや、3つの小委員会が行った「勤務医の待遇に関して」「産婦人科女性医師の有する諸問題に関して」「産婦人科新入医局員増加対策に関して」の調査の結果について報告がありました。

社会保険部は佐々木常務理事が、診療報酬体系など医療制度改革における厚生労働大臣私案につき、その中の一部である「不妊治療の保険収載」について、医会と学会合同で「不妊治療の保険収載に関する委員会」を医会の中に設置したことや、今後の改革の道筋について解説しました。

広報部は亀井常務理事から、医会・学会刊行物の共同発送が来年1月から開始されることや、医会報アンケート調査結果についてなどの報告がありました。

女性保健部の母子保健と先天異常は朝倉常務理事が、本年度の「小規模事業所・母性健康管理電話相談事業」について、その実施状況は6ヶ月で全国では91件あったこと、「新生児聴覚検査の手引書」が厚生労働省研究班により件成され、医会の各支部に配布したこと、妊産死亡登録調査集計で上位主要診断名は羊水塞栓症・脳出血・妊娠中毒症であったこと、母性健康管理指導事項連絡カードをさらに啓発・普及させて欲しいことなどの説明がありました。また、妊婦の葉酸摂取状況や「放射線被爆と先天異常」の予防マニュアルを件成したので、有意義に使用して頂きたい旨の説明がありました。

女性保健部のがん対策は永井常務理事から、全国支部がん対策担当者連絡会や関連学会についての報告と、「子宮頸がん検診を30歳未満の若年層へ拡大するために」の小冊子の説明及び来年2月22〜23日に横浜で開催される「マンモグラム読影に関する研修会」のインフォメーションがありました。

 女性保健部の予防医学・介護は田辺常務理事が、来年2月2日に開催予定の「女性保健と介護に関する検討会」の概略や「性教育セミナー」は来年度は本部が主催し、東京で、また、平成16年度は秋田支部にて開催予定であることの説明がありました。さらに、学校における性教育の実態調査と介護に関する調査結果を配布準備中であること、H R Tの安全性に関する見解及び当該医薬品安全性情報についての説明、さらに小冊子「排尿のトラブルに悩むあなたへ」を本年度未に発刊する予定であることなどの説明がありました。

中央情報室は佐藤常務理事から、各支部のシステム現状調査結果について説明され、電子文書で対応可能な支部は87%であったことを考慮して、支部月例連絡などを31支部に対し施行していることや、中央情報室は情報を管理しているのが本業であり、ネーミングが誤解を招きやすいので、来年度からは名称を変更する可能性がある旨の説明がありました。.

献金担当連絡室は力武常務理事が、財団法人日母おぎゃー献金基金と社団法人日本産婦人科医会の仕事内容と経理の関係について、及びおぎゃー献金の推進につき、献金担当者のみではなく各支部長・総務担当者の先生方のさらなるご協力を、是非よろしくお願いしたい旨の説明がありました。

引き続き支部提出議題に入り、司会を総務副担当の白須常務理事に代り、茨城の石渡先生より、3項目について質問がありました。一つは、助産行為とは何か。二番目は助産師は不足していないか。最後は産科看護研修学院研修修了者の助産行為についてです。大村担当常務理事は、最初の質問に対しては、法的に明確な規定はないが判明している範囲について説明し、2番目については、日本助産師会調査データからみても不足していること、最後は、資格取得が目的ではないので助産行為は不可であるとの回答でした。何れにしても重要問題であるため、会長諮問の委員会を発足し検討を行い、厚生労働省と話し合っていく旨のものでした。

最後は中澤総務担当理事の閉会の辞をもって終了となりました。