平成15年2月24日放送
 第1回女性保健と介護に関する検討会より
 日本産婦人科医会常務理事 田邊 清男


 日本産婦人科医会女性保健部予防医学・介護主催の「第1回女性保健と介護に関する検討会」が、平成15年2月2日(日曜日)に、京王プラザホテルにて開催されました。本日はこの検討会が開催されました経緯と、その会で討議されました内容につきまして、担当常務理事であります私「田辺」から、ご報告させて頂きたいと存じます。

 この「女性保健と介護に関する検討会」は、本来は支部の女性保健部予防医学・介護担当の先生方全員にお集まり頂きまして、「支部担当者連絡会」として開催したいと私は考えておりました。しかし予算の関係上、残念ながら全支部の担当者にお集まり頂く事が不可能でした。そこで、名称を「第1回女性保健と介護に関する検討会」とし、各ブロックの中からいくつかの支部にご参加頂くことに致しました。なお、ご出席頂きます支部としましては、先般行いました「学校における性教育の実態調査」と「介護に関する実態調査」を基にして、予算ぎりぎりの21支部とさせて頂きました。

 2月2日の検討会当日には、インフルエンザで急遽欠席された1支部を除き、20支部からお集まり下さいました。本部からは坂元会長はじめ役員13名、それに「予防医学・介護に関する委員会」の古賀委員長他委員6名が検討会にご参加下さいました。

 検討会はまず高橋担当副会長の開会の挨拶に引き続き、坂元会長よりご挨拶並びに産婦人科医会としての女性保健への取り組みに関してお話を頂戴致しました。

 次いで古賀委員長から委員会としての女性保健に関する事業への抱負をお話して頂くと共に、予防医学・介護に関する委員会の委員を紹介して頂きました。

 その後担当常務理事である私より、本部役員の担当表と平成14年度の予防医学・介護の事業計画と予算を紹介させて頂くと共に、本検討会が開催されるに至りました経緯と目的について、お話させて頂きました。

 すなわち本検討会が開催されるに至った経緯ですが、一つは担当者連絡会が今まで1度も開催されていないことです。予防医学・介護が平成11年4月に開設されて既に4年たちました。さらに、その前の女性保健部の2年を入れますと6年になります。また、女性保健部予防医学・介護のルーツをたどりますと、昭和50年代にさかのぼることができますが、その頃は母子保健部の中に性教育委員会がありました。この性教育委員会時代を通じましても、1度も担当者連絡会が開催されたことはありませんでした。

 さらには、平成13年10月に定款が改定され、社団法人産婦人科医会へと名称が変更になりましたが、この時に医会の目的も変更になり、第二番目に「女性保健に関する啓発」が来ております。今や女性保健に関する活動が医会の重要な部分を占めていることから、是非共担当者連絡会を開催したい、と私は考えておりました。

 三番目と致しまして、本部における女性保健への取り組みを是非共支部の先生方にご理解頂きたかったことと、さらには支部でどのような事業を行い、どんな問題が生じているかを逆に本部が知りたかったこと、さらには、ある支部で問題になっていることを他の支部ではどのように解決しているか支部間でご討議頂くような場を是非共設定したかったので、このような検討会を開催いたしました。

 四番目と致しまして、残念ながら支部として独自に予防医学・介護の活動をされている支部がはなはだ少ない事を伝え聞いております。先般行いました「学校における性教育と介護に関する実態調査」が、支部における予防医学・介護の担当者として、初めての仕事であったのではないかと推測しております。私は支部の担当の先生にも、もともと少ない本部からの仕事以外に、支部として是非何らかの活動を積極的に行って頂きたい、と常々考えておりました。

以上のような理由で、「第1回女性保健と介護に関する検討会」が開催されることになりました。本検討会が今後の本部の、並びに支部の女性保健に関する活動の新しいスタートとなってくれることを大いに期待致して、担当常務理事のご挨拶とさせて頂きました。

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 当日の議事の内容ですが、まず今までの本部の活動状況につきましてご報告致しました。初めに、先般行われました「学校における性教育の実態調査」結果につきまして北村委員より、次いで、「介護に関する実態調査」の結果に関しましては堺委員より、それぞれ報告がありました。その後、新家副会長より、日本医師会に設けられました「学校保健委員会」につきまして報告があり、産婦人科医が専門医として学校で活動できるよう日本医師会として、積極的に取り組んでいることが報告されました。

 次いで、産婦人科医と患者さんとのコミュニケーションを図る事を目的として予防医学・介護が発刊致しました小冊子4冊、「ホルモン補充療法の勧め」、「骨粗しょう症に気をつけて」、「わたしのピルノート」、「あかちゃんが欲しいあなたと彼へ」について、担当幹事3名より、それぞれ説明がありました。

 その後午前中の最後と致しまして、私より性教育指導セミナーの変遷と、今年行われます性教育指導セミナーについて、並びに平成16年は秋田県支部主催で開催される旨をご報告致しました。なお、今年の性教育セミナーは7月6日(日曜日)に全共連ビルにおきまして、本部主催で「性教育指導者講習会」として開催されます。午前中は「メディアと性」と題しまた特別講演を、昼はランチョンセミナーとして当委員会の秋元委員により、私どもが作成し支部へ既に配布してあります「性教育用スライド」を用いて、性教育を実際に行って頂く予定にしています。午後は5つの分科会に分かれて、実際に産婦人科医会会員による性教育を、小学校低学年、小学校高学年、中学生、高校生、それに父母を目の前にして性教育を行って頂き、参加される会員にはその性教育を見学して頂きます。その後、実際に行われました性教育を教材として、どこが良かったかあるいは悪かったかをディスカスして頂き、先生方の性教育のご参考にして頂ければと考えております。受講者には終了証あるいは受講証を発行する予定にしております。なお、「我こそは」と思われる会員には、是非共分科会での性教育の演者になって頂きたいと思っています。演者には参加費を免除すると共に、旅費等を支給致したいと考えております。応募規定等は医報3月号に折り込みで入りますので、ご参照頂きたいと存じます。

 お昼ごはんの後は、厚生労働省老人保健局老人保健課椎葉茂樹課長補佐より、「女性保健と介護」と題するご講演を頂きました。課長補佐のユーモアを交えたお話で、とかく難しくなりがちな介護に関して、分かりやすくお話して頂きました。なお、老健施設に入所している女性が、膣・外陰炎等の婦人科疾患に罹って婦人科を受診した時は、今までは介護保険の中に丸めで入っていましたが、今後は健康保険から支払われるようになるとの、最新の情報を頂きました。

 その後は、古賀委員長、水沼副委員長の司会の下、ご出席された20支部の担当者お一人一人全員より、各支部における女性保健への取り組みについてご報告して頂きました。北海道から沖縄まで、それぞれの支部での性教育や介護に、支部としてあるいは産婦人科医が個人として、どのように取り組んでおられるかにつきまして、ご報告を頂きました。同時に支部間での活発な意見の交換もありました。積極的に性教育に取り組んでおられる支部もあれば、何ら活動されていない支部もあり、本部として大いに参考となりましたし、支部としても勉強になったことと推測致しております。ただ、支部として介護に活発に取り組んでおられる支部は、残念ながらなかったようです。

 最後に、清川副担当常務理事から、本検討会のまとめと閉会の挨拶があり、朝11時から夕方4時まで、約5時間にわたる検討会が終了いたしました。

 検討会開催に反対の声もあった中で、この検討会を開催することを主張させて頂きました担当常務理事と致しまして、皆様から「大変いい会であった」とか、「非常に勉強になった」といったご意見を頂き、心よりほっと致しております。この第1回の「女性保健と介護に関する検討会」が、本部はもちろん支部での女性保健に関する活動に、少しでもお役に立つことが出来ましたら光栄です。

 本日は、2月2日に行われました「第1回女性保健と介護に関する検討会」が開催されました経緯と目的を主としてお話させて頂きました。詳細は医報3月号に載る予定です。

 ご静聴ありがとうございました。