平成16年4月5日放送
 
第57回日本産婦人科医会通常総会より
 日本産婦人科医会幹事長 宮崎 亮一郎


 本日は、平成16年3月28日(日曜日)午前11時から、京王プラザホテル5階「コンコード」で行われました、第57回日本産婦人科医会通常総会の報告をさせていただきます。
 総会は、仮議長の選出からはじまり、仮議長には東京支部の小林重高代議員が開催地区代表として選ばれました。代議員69名中68名の出席が確認され、会の成立が小林仮議長から宣言されました。
引き続き、議長、副議長の選出が行われましたが、議長には大阪支部の竹村秀雄代議員が、副議長には栃木県支部の上地弘二代議員が、それぞれ正式な手続きを経て立候補され、選出されました。
会の始めに、坂元正一会長から、「全てのことが混沌としている時代である。公開すべきは公開するように努力している。お互いに顔をつき合わせて十分な話し合いをもてるようになるとよい。」と挨拶されました。
 その後、坂元会長より、平成15年度会員物故者、特に西島前常務理事、小國、森作理事をはじめとする執行部役員の方々を始めとして多くの会員が亡くなられたことを悔み、冥福を祈って黙祷が行われました。引き続き、水子に対しても黙祷が行われました。

会議は、

第1号議案の「役員補充の承認に関する件」
田中常務理事から、東海ブロック選出理事である森川正作理事が病気を理由に中尾孝理事への交代について協議され、可決されました。
第2号議案の「平成16年度事業計画(案)に関する件」
本部事業部の13部1室の各担当常務理事より、本年度の新規事業についてそれぞれ解説がなされました。
《主なものは、総務部では、理事会、常務理事会、幹事会の回数削減、日産婦学会・日産婦医会名簿作成、次世代育児支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の策定を、学術研修では、「婦人科における二次感染とリスクマネージメント」、「不正性器出血」をテーマとすること、医療安全・紛争対策では、「第13回の全国支部担当者連絡会」の開催、「医療事故・過誤防止事業」の推進と関連資料の整備・活用、医療事故多発施設(医師)対策に向けた支部研修会への支援、「インシデント・アクシデント/レポート調査による対処マニアル」の作成・配布を、医療対策では、近未来医療システム像の調査・分析についての検討、限定メーリングリストについての検討を、勤務医部では、医会ホームページ勤務医部コーナーの充実を、社会保険部では、診療報酬点数改定に伴う、速見表・医療保険必携の作成、ICD-10に基く病名オーダリングシステム調査を、女性保健部では、10代女性における人工妊娠中絶の防止対策、性教育スライドの改定、厚生労働科学研究事業への支援、‘産婦人科デビュー’対策、「生活習慣病マニュアル」(仮称)作成、最近の知見を踏まえたHRTの指針の策定、「介護施設における高齢婦人科疾患に関するアンケート調査結果」の活用、「産婦人科医のための介護保険マニュアル」(仮称)の作成整備を、母子保健部では、全国的な新生児聴覚スクリーニング検査の実態調査、NICUに関する実態調査、次世代育児支援推進法につき検討し、会員への啓発、先天異常部では、国際シンポジュウムを平成16年9月19〜22日に京都で行われること、がん対策部では、全国担当者連絡会の開催、マンモグラフィー検診精度管理中央委員会との連携・協調、検診方法に関する検討を、情報システム部では、会員専用ホームページの内容充実を、「プライバシー・セキュリティーの責任に関する注意事項」の作成、Web版周産期電子カルテの開発、モバイルとi(アイ)アプリを用いた在宅妊婦管理システムを、献金担当連絡室では、先天異常治療に関するパンフレットの作成、電子媒体を利用した献金方法の確立およびPRを行う、ISCOM(国際クリアリングハウス国際シンポジューム)に協力する、献金配分方法の検討、などが述べられました。》
質疑として、
紺谷昭哉(石川支部)代議員より
事業計画内の一部修正を要望するとの発言がありました。 担当の川端常務理事より、その場で訂正させていただくことになりました。
菊川 寛(北海道支部)代議員より
医療事故のマニュアルの運用方法について、医療事故アドバイザーの選び方等の質問がありました。担当の川端常務理事より、運用・アドバイザー・指導は各地区で対応して欲しいと述べられました。
堀永孚郎(大分支部)代議員より
公立病院の産婦人科医師が引上げてしまっている。医会として実態調査、現状に基くアドバイスが欲しい。清川副会長より、引き続き検討していきたいと説明がありました。
柿木成也(鹿児島支部)代議員より
助産師学校の確保の問題、必要な活動費に十分な予算を使用して欲しいと要望がありました。
事業計画に関しては、一部修正の上可決されました。 
第3号議案の「平成16年度収支予算(案)に関する件」
次年度予算(案)が飯塚常務理事から説明されました。 今回の問題は、代議員の旅費に関してでした。 佐々木副会長から、代議員の旅費に関しては、昨年3回のブロック代表者会議を開催し、了解の後、支部長へも連絡、幹事会、常務理事会、理事会を経て本会に提出された経緯が説明されました。
質疑として、
久保田順一(佐賀支部)代議員より
代議員出張旅費について。全額支部負担とせず、最小限、ブロック別に本部負担率を決めることにより、支部負担率を軽減し、全代議員各位の出席の下で本部・支部のスムースな会の運営を望むと要望がありました。
濱脇弘暉(高知支部)代議員より
旅費のない場合、高知支部では出席できなくなる可能性があるとの発言がありました。
菊川 寛(北海道支部)代議員より
学会と医会とは違うのではないか?等の意見があり、代議員の意見を伺った後、予算決算委員会が開催されました。
柿木成也予算決算委員会委員長
委員会の報告として、今回の予算(案)に関しては、賛否を問うのではなく、予算(案)は通過させるが、代議員の旅費の問題に関しては、継続審議として理事者側に付帯するというものでした。
付帯つきの可決になりました。
第4号議案の「名誉会員の推薦に関する件」
田中常務理事から解説され、 今橋経任氏(高知支部)を推薦、可決されました。
第5号議案の「特別会員の推薦に関する件」
田中常務理事から解説され、 25名の候補者につき検討、可決されました。
第6号議案の「平成16年度会費免除者(案)に関する件」
田中常務理事から解説され、 会費免除者303名(内疾病事由24名)(平成16年3月16日現在)について検討、可決されました。

代議員提出議題として

後藤 薫(秋田支部)代議員より、「良い産院の10カ条」について、
1.良い産院の10か条の顛末について
 田邊常務理事;2月号に掲載しなかったのは、各種事実の確認、理事会の意見を確認してからとのことであった。
2.医療事故報告の義務化について、会員への了解周知徹底のないうちに新聞報道がなされた意図について
 川端常務理事;新聞報道に関しては、2月の理事会(案)として、実施は4月を予定していると報道されている。
諏訪部博(千葉支部)代議員より、理事会(案)を会員へ周知しないまま新聞報道はしないことを要望する。
村井軍一(岩手支部)代議員より
1.良い産院の十か条は、中間報告とのことだが最終報告はでるのか
 田邊常務理事:来年度に出る予定である。しかし、別の角度から継続的な審議になるであろう。
2.学会戒告違反者に対する医会の対応は
 新家副会長:会員倫理委員会を開き、事情聴衆をした。
家坂利清(群馬支部)代議員:要望事項
国の礎というべき周産期の窮地を、本会は日医や世論に早急に訴えていただきたい。
朝倉常務理事:病院内の実態調査は難しい、各支部で可能であれば調査していただき、本部へ提出していただきたい。
荒川博司(愛知支部)代議員:要望事項
1.保助看法への積極的な働きかけをして欲しい。
 大村常務理事:厚労省には今後とも働きかけていく予定である。
2.1人医院でも多くは周辺の医師と常に連携し安全な出産を目指している現状である。地方の医療施設及び妊産婦の立場を十分に考慮していただきたい。新聞社へ訂正を希望する。
 田邊常務理事:時間をしばらく頂きたい。

 今回の通常総会は、何時になく議論が白熱し、会長が考えられていた「顔をつき合わせて十分な話し合いを」という意図にそったものと思われました。
 以上、第57回通常総会から報告いたしました。