平成9年12月22日放送

全国支部総務担当者連絡会より

日母産婦人科医会常務理事 市川 尚

 平成9年度全国支部総務担当者連絡会が、12月7日日曜日に京王プラザホテルにて開催されました。当連絡会は6月の支部長会以後の各事業部の連絡事項を含め、当面する各支部の問題点等を協議・懇談することを目的として行われるもので日母の重要な会であります。

 今回は事前に各支部より質疑・協議事項を戴いておきましたので、そのなかから重要な問題を拾い上げ、午後の3時間を協議にあて、各支部のご意見をまじえ活発に討論していただけたと思っています。当日の話題のなかから重要なものにしぼって報告させて戴きます。

 (1)低用量避妊薬の認可について

 申請後既に8年を経過している低用量ピルの認可については10月28日に開かれた中央薬事審議会の特別部会で、文書によるインフォームド・コンセントや性感染症検査を含む市販後調査の実施など、厳しい条件付きで承認することを了承されました。このあと12月17日に予定されている常任部会に上程されることになっていますが、ここで改めてSTD防止策を検討し、検討結果を公衆衛生審議会が評価した上で審議内容や同意文書を公開し、国民の意見を求めた後承認されることになりますが、今のところ時期については未定である。12月4日に認可禁止を求める環境問題で活動しているグループの要望書が提出されるなど、先送りされるかどうか非常に難しいところであります。

 (2)定款細則一部変更の件について

 会員の種別について、既に代議員会の議を経て平成10年よりA・B会員を一本化して正会員として、準会員との2つの種別に変更することになります。平成3年より漸次B会員の会費を上げてきて、来年度からA・B会員の会費は36,000円となり一本化することになります。これに伴い種別を記載した定款細則の変更案を説明しました。

 現在、昨年提案する予定であった定款についても厚生省との事前交渉が進み、一部検討する部分もありますがおおむね了承されていますのでこれ等を来年2月の理事会に提案し3月の代議員会に提案することになります。

 (3)母体保護法指定医師の基準モデルについて

 昭和45年に日本医師会で定め、それに基づいて各都道府県医師会が定めている基準モデルについては、その後の医療環境の変化に伴い、現在ではその運用に適さない箇所が生じ、将来の産婦人科医療に則した形になるよう検討してきて、平成5年「優生保護法等検討委員会」の答申案が出されていました。その後すぐには日本医師会で検討されることがなかったが本年既に2回この問題で日本医師会と話し合いを持っています。

 答申案を基に日母の案をたたき台に話し合っていますが、主な内容は@指定医師の技能研修期間に日本産婦人科学会の認定医と関連させることA研修期間の条件などに現状に応じて変更したことB技能指定と設備指定との分離を図ったことC設備指定内容を現在の医療環境に適したものに変更したことであります。

 今後さらに日本医師会と話し合い了解が得られたら、今後は日医が都道府県医師会と話し合った上で、基準モデルが改訂されることになるでしょう。来年度には進行するものと考えています。

 (4)平成10年度厚生省予算概算要求について

 平成9年4月より母子保健関連事業は市町村に移譲され実行されていますが、平成11年度よりはそれ等予算も一般財源に移され、補助金事業でなくなる予定でありました。それが平成10年より前倒しで一般財源化とされることになりました。妊産婦健康診査、妊婦B型肝炎検査、母子保健訪問指導事業などがこの様になります。

 市町村での取扱いが不平等になったり、内容が異なることにならぬ様、厚生大臣、厚生省児童家庭局長宛てに要望書を提出しました。

 全国支部におかれても、ぜひ早く市町村の行政当局と話し合いを始めていただき、不利なことが無い様よろしくお願いします。

 尚、老健法における子宮がん、乳がん検診は他のがん検診と異なり、30から39才も対象とされていましたが、今回この年齢層の分が対象からはずされるとの情報がありました。今後確認をしたいと思っています。

 (5)母子保健関連事業について

 総合周産期センターは現在5県で実施に入っています。不妊相談センターは全国5ヶ所で行われています。又妊婦の公費によるHIV抗体検査は今迄の青森、埼玉、千葉県に加え、茨城県、来年から群馬県で行われることが決まっています。

 又子供の心の健康づくり対策事業のなかの出産母子支援事業が市町村で行われることが通知されましたが、これは助産婦による育児不安等への相談事業ですのでご承知ください。

 (6)「学校医への産婦人科医の参画について」

 平成3年7月に日産婦と共同で文部大臣に要望書を提出しましたが、平成9年6月24日付で保健体育審議会が答申した文書に「学校における専門家の活用によるカウンセラーの充実と精神科医、産婦人科医などの学校医の増員が必要と書かれていることから再度日産婦学会と共同で文部大臣宛てに要望書を提出することにしました。

 現在の性の逸脱、10代の中絶の増加などからも産婦人科医師の学校医を強く要望することにしました。

 これ等の主なテーマについては質疑応答をまじえ、活発な意見の交換があり、極めて有意義な会となりました。

午前中の連絡事項のなかで大事なものを抜粋してみます。

 1.第26回の日母大会は平成11年に行われますが、この年は日母創立50周年にあたるので、本部主催で行わさせてもらうことになりました。正式には来年の代議員会で承認してもらう予定です。

 2.静脈麻酔薬(ラボナール)は日母会員、麻酔学会等の要望が強かったため、田辺製薬が製造継続としたことが10月29日連絡があり安心しました。

 3.研修ノート「急速遂娩術」医事紛争対策部の発行する小冊子「これからの医事紛争防止のために」地域保健部がん対策よりの「子宮がん検診の手引き」等が出来上がったので来年1月には各会員のもとに配布させていただきます。

 4.研修部より平成10年度の会員研修テーマは産道損傷(No.60)と思春期のケアー(No.61)と決まっていますが、平成11年度の研修テーマは母体救急疾患一その病態と対策一(No.62)と高齢女性のケアー(No.63)と決定したことが報告されました。

 5.医療。医業対策部の医療対策よりアンケート調査結果を小冊子にまとめとものが2冊配布されました。一つは「産婦人科診療費調査結果」であり、もう一つは「産婦人科病診連携調査結果について」であります。

 両調査結果共に各支部で活用していただければ幸いです。

 6.社会保険担当よりは平成10年4月の診療報酬点数改定に関する産婦人科の要望事項について、日産婦社保学術委員会と話し合ってまとめた17項目について説明があり改定並びに新設の要望を日本医師会にあて提出をしました。

 以上のほかにも多くの連絡事項が報告されたほか、来年度の事業計画・予算(案)作成にむけての各支部の要望をお聞きして、これから作成に向けて努力することになります。

 以上総務担当者連絡会のご報告と致します。