妊娠中と授乳中の服薬に関して

~妊娠と薬情報センターのご案内

国立成育医療センター 妊娠と薬情報センター

村島 温子、渡邉 央美


 

「妊娠していると気付かずに薬を飲んでしまったけれど、赤ちゃんへの影響はあるのかしら?」

「持病でお薬を飲んでいるけれど、このまま妊娠して赤ちゃんに何か影響はあるのかしら?」

 このような質問にお答えするために、厚生労働省の事業として「妊娠と薬情報センター」が国立成育医療研究センター内に設置されています。

 妊娠と薬情報センターは日本産婦人科医会からもご協力をいただいています。

妊娠と薬情報センターの役割  

  

 妊娠中にお薬を使用する場合には慎重さが必要ですが、赤ちゃんへの影響はお薬の種類や使用した時期によって違ってきます。妊娠に気がつかずに薬を飲んでいたからといって、心配しなくてよいこともあります。

 また、病気によっては妊娠に気付いてお薬を中止することによってお母さんの健康状態が悪くなり、赤ちゃんの健康にも影響する可能性があります。慢性の病気を持っている女性は、できれば妊娠前から妊娠中の治療について相談しておくとよいと思われます。

 私たちは、正確な情報提供をして、薬剤の服用や今後の妊娠経過についての方針を判断していただくことを目的に、相談業務を行っています。相談に際しては、カナダ・トロント大学の胎児薬物毒性情報サービスであるマザーリスクプログラムと連携し、国内外の文献を元に科学的に検証された医薬品情報を妊婦さんや妊娠を考えている方に提供しています。

 現在、我が国においては、医薬品の妊婦・胎児への影響に関して、必ずしも十分な情報があるとはいえません。センターでは今後利用できるエビデンスを創出するために、相談を申し込んだ方の協力を得て、詳しい服薬の状況や背景の情報を収集し、妊娠結果の追跡調査をしています。

妊娠と薬情報センター

妊娠と薬情報センターの利用方法

 

 妊娠している女性、妊娠を考えている女性ご本人からのお申し込みに限らせていただいています。

 当センターへの実際の相談手順としては、

 1) 所定の問診票を当センターに郵送する

 2) センターから相談方法についての通知を受け取る

 3) センターで作成した情報をもとに説明を受ける

 相談方法は次の3種類ですが、ご希望に添えない場合があります。

       ①「妊娠と薬外来」での相談(医師と薬剤師が同席)

       ②主治医のもとでの相談(相談依頼書が必要)

       ③電話での相談(医師または薬剤師)

相談の手順

詳しいお申し込み方法については、ウェブサイトをご覧ください。

 お申し込みに必要な問診票と依頼書はウェブサイトからダウンロード、印刷することができます。印刷できない場合にはFAXか郵便でお送りしますので、お電話でご連絡ください。

拠点病院「妊娠と薬外来」について

 

 「妊娠と薬外来」は国立成育医療研究センターの他に、全国21の拠点病院に設置されています。お近くの妊娠と薬外来をご利用できますが、お申し込み・お問い合わせについては国立成育医療研究センター内の妊娠と薬情報センターで受け付けております。

妊娠と薬情報センター拠点病院

北海道大学病院

TEL0117161161(内線7723又はPHS82943

受付時間:9 17時(祝日を除く月~金曜)

岩手医科大学附属病院

TEL0196245263(「妊娠とお薬相談室」直通)

受付時間:9 16時(祝日を除く月~金曜)

独立行政法人国立病院機構 仙台医療センター

TEL0222931111

   (「薬剤科の妊娠と薬事務局」とお伝えください)

受付時間:10 16時(祝日を除く月~金曜)

筑波大学附属病院

TEL0298533630

受付時間:9 16時(祝日を除く月~金曜)

前橋赤十字病院

TEL:027-224-4585(薬剤部:内線7709)

受付時間:9 16時(祝日を除く月~金曜)

埼玉医科大学病院

TEL0492761297(「妊娠と薬外来」とお伝えください)

受付時間:15 17時(祝日を除く月~土曜)

千葉大学医学部附属病院

TEL:043-226-2628(薬剤部 医薬品情報室)

受付時間:9 16時(祝日を除く月~金曜)

公立大学法人 横浜市立大学附属病院

TEL0457872800

   (「妊娠と薬外来の件」とお伝えください)

受付時間:9 17時(祝日を除く月~金曜)

新潟大学医歯学総合病院

(2012年度開設予定)

TEL0252270352(「妊娠と薬外来」とお伝えください)

受付時間:9 1330分(祝日を除く火曜と金曜)

信州大学医学部附属病院

TEL0263373022(「妊娠と薬外来」とお伝えください)

受付時間:9 16時(祝日を除く月~金曜)

独立行政法人国立病院機構 金沢医療センター

TEL0762624161

受付時間:9時~ 1630分(祝日を除く月~金曜)

独立行政法人国立病院機構 長良医療センター

TEL0582327755(「妊娠と薬外来」とお伝えください)

受付時間:10 16時(祝日を除く月~金曜)

名古屋第一赤十字病院

TEL:052-481-5111(薬剤部:内線38376)

受付時間:13 16時(祝日を除く月~金曜)

京都府立医科大学附属病院

TEL:075−251−5862(薬剤部 医薬品情報室)

受付時間:9 17時(祝日を除く月金曜)

地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪府立母子保健総合医療センター

TEL0725565537(妊娠と薬外来)

受付時間:10 1214 17時(祝日を除く月~金曜)

神戸大学医学部附属病院

TEL0783825111

   (「妊娠と薬相談外来」とお伝えください)

受付時間:13 17時(祝日を除く月金曜)

奈良県立医科大学附属病院

TEL:0744-22-3051(薬剤部:内線3565)

受付時間:830分~ 16時(祝日を除く月~金曜)

広島大学病院

TEL0822575079

受付時間:9 16時(祝日を除く月~金曜)

独立行政法人国立病院機構 香川小児病院

TEL0877620885

受付時間:830分~ 17時(祝日を除く月~金曜)

九州大学病院

TEL0926425900

受付時間:14 17時(祝日を除く月~金曜)

鹿児島市立病院

TEL:099-224-2101(薬剤科:内線2603)

   (「妊娠と薬外来」とお伝えください)

受付時間:830分~ 1715分(祝日を除く月~金曜)

※お問い合わせ、お申し込みは、国立成育医療研究センター内の妊娠と薬情報センターにて受け付けています

妊娠転帰調査のお願い

 

 将来、さらに確かな情報を提供するために、皆様の服薬状況や妊娠結果に関する調査を行っています。調査結果は、論文やホームページなどを通して社会に還元します。さらに、お薬を処方する際の手引きである添付文書上の「妊婦ヘの投与に関する使用上の注意」の改訂に役立てたいと考えています。当事業の趣旨をご理解の上、将来のお母さんのためにご協力くださいます様お願い申し上げます。

授乳中のお薬についての相談

 

 お母さんがお薬を飲むと、成分が母乳中に移行することが多いのですが、移行量が多くて問題になるお薬はごく一部です。母乳栄養には多くのメリットがあるので、なるべく必要な治療を受けながら、授乳も続けることができればよいと私たちは考えています。

 20124月から、現在授乳中の方の場合、電話で授乳中の薬剤使用についてのご相談を受けられるようになりました。問診票を送っていただく必要はありませんが、薬の名前を詳しくお伺いしますので、お電話前にご用意ください。相談内容によっては回答までにお時間をいただくことがあります。また、「妊娠と薬外来」での相談をおすすめすることもあります。詳しくはウェブサイトをご覧のうえ、お電話ください。

 電話番号: 03-3416-0510 (平日10~12時、13~16時)

慢性疾患治療薬剤についての登録調査

 

 妊娠と薬情報センターでは妊娠結果の調査をしていますが、通常の相談申し込みとは別に、妊娠中に特定の薬を使用した女性に登録していただく調査を行っています。第一号として全国バセドウ病専門施設の協力を得て、抗甲状腺薬の妊娠中の安全性に関する研究を2008年より開始しています。今後も妊娠と薬情報センター拠点病院や慢性疾患専門グループと協力して、妊娠年齢の女性にニーズのある薬剤についての調査を行う予定にしています。

お問い合わせ

 

国立成育医療研究センター   妊娠と薬情報センター

直通電話番号:03-5494-7845

受付時間:月曜~金曜(祝日を除く) 10:00~12:00、13:00~16:00

157-8535 東京都世田谷区大蔵2-10-1