日産婦医会報(平成15年5月)開設者急逝後に必要な届出・手続き
前医療対策委員会副委員長 小関 聡
【はじめに】
開設者が不幸にして死亡した場合、遺族が届け出なければならない書類は予想外に多い。昭和62年、当時の日母医報に同じテーマを掲載したが、その後15年以上経過し関係法令や制度も変更されているため、今回改めて取り上げた。手続きは、法定相続人が行うが、その中に相続する医師がいればその医師が行うのが一般的である。文中○は役所等で渡される書類、*は相続人が用意する書類である。
【保健所】
『相続の場合』
【社会保険事務局】
従来は県保険課で行っていたが、組織の移行により国直属の社会保険事務局に変更となった。
『相続の場合』
一旦廃止後に再度保険医療機関の指定申請の手続きをしなればならないが、親族による交代または開設者死亡の時点で6カ月以上継続勤務している常勤医が即引き継いで診療を続けるのであれば、死亡の翌日に遡って新しい開設者での保険医療機関の指定を受けることができる(○保険医療機関遡及指定願、*親族の場合は戸籍抄本など身分関係を証明できるもの)。その他の場合は新たに指定を受けるまで保険診療はできない。友人の医師による転医のための紹介状発行等は可能であるが、保険診療と認められない。
【医師健康保険組合または医師国保】
【医師会】
【税務署】
【都道府県労働局】
労災指定医の場合。以前は都道府県医師会で取り扱っていた。
『相続の場合』
上記書類で変更内容を「交代」とする。
【福祉事務所】
生活保護取り扱いの場合。自治体によっては保健所と統合された地域もある。
○ 生活保護法指定医療機関辞退届書
『相続の場合』
○ 同指定申請書
都道府県により手続方法が一部異なる場合がある。返納する免許証や登録票等が見当たらない場合は、紛失届(始末書)もあわせて提出することになるのでご注意願いたい。
その他、社会保険事務所、郵便局、銀行、生命保険会社、損害保険会社、所属学会など多々あるが、誌面の都合上割愛した(本会ホームページに掲載を検討中)。