【第2回】5.助産師のケア

*各項目推奨のレベルは以下の通りです。

  1. 科学的根拠があり、行うよう強く勧められる。
  2. 科学的根拠があり、行うよう勧められる。
  3. 科学的根拠はないが、行うよう勧められる。

**本ゼミナールは、厚生労働省班研究2011-2012年「母親が望む安全で満足な妊娠出産に関する全国調査―科学的
根拠に基づく快適で安全な妊娠出産のためのガイドラインの改訂-」(研究代表者:島田三恵子 大阪大学教授)に基
づいており、同研究班が発行した「科学的根拠に基づく快適で安全な妊娠出産のためのガイドラン(金原出版株式会社
2013年)」を参考にしてください。

 支援型産科医療においては、家族の主体性を尊重し、母子に寄り添い安全を見守る姿勢が重要視され、母子の「からだ」と「こころ」の健康の両方の維持、推進が追求されます。そのために、すべてのお産を医師、助産師、看護師が協働チームとして担当し、見守る姿勢が重要とされます。医師は母子の安全を守るための適切な医療処置を施し、助産師は女性の産む力を引き出し、妊娠や分娩を正常に経過させるために心身のケアを行います。妊娠、分娩において助産師のケアが、どれだけ満足度の向上に寄与するか調査をしました。

           (図12)

図12に示すように、バースプランを聞くのが助産師であると満足度が上がりますが、医師では上がりませんでした。分娩介助者が助産師のみの場合に比べ、医師のみでも満足度に違いはありませんでしたが、異常分娩の時は、医師が助産師とともに解除すると満足度が上がることがわかりました。興味深いことに、助産師単独より、助産学生が加わることでも満足度があがりました。これは、陣痛室で医療者が付き添っていると、誰も付き添っていない場合に比べ満足度が上がり、分娩時医療者がもっと付き添ってほしかったと回答したものは、十分に付き添ってくれたと回答したものより、満足度が低下していることと関係していると考えられます。また、妊娠中の医療サービスを満足と答えた者の中では、退院後の医療相談を助産師と答えた者が多くみられました。この結果と、文献システマティックレビューから、以下のRQと推奨が得られました。

RQ 助産師のケアを受けられるか?

推奨
 女性が助産師のケアを自由に選択できる状況が確保されることが重要である。【B】

 妊娠中にバースプランの相談や、退院後の育児の相談を助産師が担当する【B】

 分娩直接介助を助産師が行うことは、マッサージ等による産痛緩和で満足度が上がり、自然分娩の割合が増え、会陰切開、点滴などの医療介入の割合が減ることを認識する。【B】

 分娩介助者が助産師である場合、助産師が医師にいつでも連絡報告できることが重要である。【A】