31. 臍帯過捻転・過少捻転
過捻転
生理的な範囲を超える臍帯の捻転を認める場合を過捻転と診断します。過捻転では、牽引、圧迫、捻じれに弱く、臍帯の血流障害が起きやすい状態にあるため、胎児発育不全の原因となることもあります。脆弱な部分の圧迫などの影響で、陣痛発来後に児の状態が悪化することがあるので、分娩前に分かっている場合は分娩時の胎児心拍数陣痛図を厳重に観察する必要があります。しかし、妊娠中の突然の胎児死亡の原因となることもあるが、過捻転による死亡は(特に胎児発育不全が先行しない場合)突発的に起きるため、予防策がなく、すべてにスクリーニングしておくべきか議論の余地があります。しかし、わかっている場合は、厳重な分娩管理で慌てなくて済むというメリットがあります
過少捻転
一方、臍帯の捻転がほとんどなくまっすぐな臍帯をストレートコードとか過少捻転といいます。これも、生理的な捻転による外力への抵抗性が少ないため、圧迫などの影響を受けやすく、胎児機能不全などとの関連が指摘されています。急激な妊娠中の胎児死亡症例の娩出後に過少捻転が初めてわかる場合も少なくありません。しかし、これも一直線になっている場所を描出するのが難しいため、妊娠中の超音波診断は難しいです。妊娠の早い時期のほうが診断しやすいかもしれません。
臍帯捻転の診断法としては、超音波検査にて臍帯1周期の長さを測定し、coiling index(1/1周期の長さ(cm))を求めて過捻転(0.6以上)や過少捻転(0.1未満)を診断する方法などもあるが、捻転が部分的に強い、弱い場合などもあり、超音波検査中の見た目での判断も大事である。写真はわかりやすくカラードプラにしているが、2Dでも十分に診断し得えます。