33. 単一臍帯動脈

 単一臍帯動脈は全分娩の約1%に認められ、珍しいものではない。発生機序は、二本の動脈のうち一方の動脈がもともと無形成であるもの(無形成型)と、二次的な閉塞によって一方の動脈が退縮したもの(閉塞型)があると考えられている。

 無形成型は、先天異常と関連する場合があり、染色体異常や何らかの症候群のひとつの表現型として関連する場合があるので胎児異常にも気を付ける。しかし、他の胎児の合併異常のない単一臍帯動脈(isolated single umbilical artery)は、染色体異常のリスクを上げない。

 一方、閉塞型は、妊娠中の何らかの胎盤や臍帯の異常で発生すると考えられ、その他の付属物の所見に気を付ける。いずれの型も胎児発育不全と関連するので、発育やの評価にも注意を払う必要がある。

超音波診断は、臍帯動脈の1本が描出されない場合を単一臍帯動脈と診断する。

 臍帯のフリーループで診断してもよいが、胎児膀胱の水平断面にカラードプラをかけ、両側に走行する胎内の臍帯動脈を描出するのが容易である。

膀胱両側を走行する正常臍帯動脈(妊娠12週)

 無形成型と閉塞型の判別は、娩出した臍帯の病理組織で血管組織の有無をみることで可能であるが、超音波検査では判別できない。ただし、妊娠中に経時的に2本あったものが1本になれば閉塞型の可能性がある。しかし、妊娠の早い時期におきた閉塞の場合、妊娠中に血管組織が退縮して病理診断できない場合もある。

妊娠中期の単一臍帯動脈(膀胱の片側にしか描出されない)

閉塞型の単一臍帯動脈