5.<産科一般超音波検査・初期編>
 正常所見4-7週

<産科一般超音波検査・初期編>

正常所見4-7週
妊娠初期の超音波所見をみていきましょう。
胎児臓器がどんどん形成される時期ですので、週数毎に見える超音波所見は刻々とかわります。
また、この時期では、発育に個体差はありませんから、典型例を頭にいれることが大事です。
胎嚢(GS)や胎芽(CRL)のサイズの基準値などもありますが、いずれも測定誤差が大きいので見た目のイメージを優先します。

(以下のタイトル記述は私の勝手なイメージに基づくものですが、健診でそう説明するとちょっとキュンとなることもあります)

妊娠4週前半
肥厚した内膜のみ

基礎体温の高温相が14日以上続いたり、妊娠反応が陽性になりますが、まだ、小さいため妊娠の存在を超音波で確認することはできません。

妊娠4週後半から5週前半
なにもない大地にポチっと赤ちゃんの種が見えはじめる

黄体期子宮内膜は白く高エコーになっていますので、4週の終わりごろに、そこに発生してくる黒い無エコー像として胎嚢が確認できるようになります。
円形ないし類円形の無エコー像のまわりに白い縁取り(white ring: 絨毛膜をみている)があれば間違いないです。ただし、出血例などでは、エコーフリースペースができて紛らわしいことがありますので要注意です。

妊娠5週前半
リングがみえはじめる

まず胎嚢の中にはリング(卵黄嚢)が見え始めます。このころの卵黄嚢は正円です。胎芽はそのどこかにいるはずですが、まだ超音波でその存在を確認できません。

妊娠5週後半から6週前半 
リングに輝くダイヤが膨らむ


胎嚢は大きくなり、まず円形のリング(卵黄嚢)もはっきりと描出できます。そして、リング(卵黄嚢)の一か所にダイヤ(胎芽)が見えるようになります。卵それが輝いているのが(点滅:心拍)確認できるようになります。5週前半からリングは見え始めますが、ダイヤはついていません。ダイヤが膨らんでくるまでは心拍は確認できませんので、心配ないことを説明する必要があります。

妊娠6週以降 
ダイヤはひとり立ちし、あずきになる。

卵黄嚢と胎芽(ダイヤ)はすこし離れて見えるようになります。胎芽はまだ頭部と胴体を分けて描出するには小さく、あずきのように見えます。このサイズになれば、心拍は必ず確認できます。

妊娠7週以降 
クリオネのように浮遊

胎芽はどんどん大きくなり細長くみえます。やや頭側のほうが丸く、尾側の方が細く見え、その中心に心拍が透き通って確認できます。水中を浮遊するクリオネの如くみえます。すこしずつ、胎児の頭部と体幹の間にくびれができて、頭部と胴体が区別できるようになります。

どうですか、イメージできましたか?