7.5 分娩予定日決定法の変更 

 「7. 分娩予定日決定が肝」で予定日決定法について解説させていただきました。その内容についての変更はありませんが、2020年4月に発刊されました産婦人科診療ガイドライン産科編2020で、予定日決定法が変更になっていますので、追記、解説いたします。

CQ009 分娩予定日決定法については

1.分娩予定日は妊娠初期に、いつもの月経周期と最終月経、以下の情報より決定する。

1)胚移植日か、特定できる排卵日。(A)

2)妊娠8-10週の頭殿長(CRL)や妊娠11週以降の大横径(BPD)の超音波計測値。(B)

  1. 2.妊娠初期に妥当な根拠で定めた予定日を、中期以降の超音波計測値によって変更しない。(B)
  2. 3.分娩予定日を決定した根拠を診療録に明記しておく。(C)
  3. 4.Answer 1の情報が利用できない場合、妊娠中期以降の児頭大横径(BPD),大腿骨長(FL)などの超音波計測値を参考に予定日を決定する。(C)
  4. 5.妊娠中期以降に分娩予定日を決定した時は、新生児所見の成熟度を確認する.(C)

2017版では、最終月経を優先した考え方で、超音波所見との乖離があるときには、妊娠週数、予定日をずらすという考え方でした。

2020版では、近年の妊娠初期の正確なCRLにより計算された予定日のほうが適切であるという考え方を採用し、超音波計測値を優先することになりました。最新のACOGのガイドラインも、超音波計測値をもとに決めた予定日を推奨しています。

なお、正確なCRLが測定されるまでの間は、予定日は未定とするか、月経歴などを参考にした暫定的な予定日を用いることとなります。

超音波計測にも全く誤差がないわけではありませんので、超音波所見を中心に総合的に判断するというのが現実的な考え方です。ですので、複数回の診察における超音波計測値(トレンド)を確認して決めるのがよいと考えられます。CRLが14-41mmのときの値を含めた超音波計測値より求めた妊娠週数の情報を含めて決定した分娩予定日を採用するということになります。