妊娠とオウム病
2017年4月28日
妊娠とオウム病
日本産婦人科医会
会長 木下勝之
先般、報道でオウム病による妊娠女性の死亡例が報告されましたが
日本産婦人科医会から妊娠とオウム病について以下の情報をお伝えします
・オウム病は稀な疾患でクラミドフィラ・シッタシという病原体による感染症です
・日本では発症者は全国でわずか年間20~30例ほどです
・オウム病は主に鳥(オウム、インコ、ハトなど)のほか(ウシ、ヒツジ、ヤギなど)の動
物の分泌物・排泄物などから人へ感染します
・日本にいる鳥(オウム、インコ、ハトなど)の5~20%ほどがオウム病病原体を保有して
いるとの報告があります
・これらの病原体を持つ鳥類等と接触してオウム病になる確率は不明ですが、頻度は低いと
されています
・潜伏期(接触から発症するまでの期間)は1~2週間です
・症状は急激な発熱でインフルエンザに似たような症状から始まるとされています
・妊婦は重症化する傾向があり、胎児の死亡も報告されています
・妊娠した女性は鳥や動物との不必要な接触(特に口移しなどの濃厚な直接接触)は控える
ことが大切です(ほかにも様々な病原体もありえますので)
・感染したかどうかの検査は血液で可能ですが一般的には症状も出てない場合には検査の
必要もなく、心配ないものとされています(潜伏期、症状等が合致している方はかかりつ
け医に相談してください)
・今回の報道から妊娠している方々には驚かれている方が多いとは思いますが過剰には心
配されませんようお願いします
なお、診療に携わる医師向けの情報として
大阪母子医療センター研究所免疫部門 柳原格先生、吉村芳修先生が本会に寄稿された資料
『オウム病について 』、 ならびに厚生労働省から出された『 健康危険情報の通報(要旨)』
も参照ください。
(担当、情報とりまとめ:日本産婦人科医会 母子保健部会、先天異常部会)