編 集 後 記
今回の研修ノート「帝王切開 Q&A 私はこうしている」は,産科臨床の現場においてすぐに役立つ一冊です.
編集の仕事をさせていただいて,子宮切開創の位置の話だけでも,最近では子宮下部の何処を切るか,bladder flap を形成するのかしないのか,すなわち膀胱を剝がして子宮下部を切開するか膀胱より上を切るかで議論があることを知りました.また,子宮切開創の修復においても帝王切開瘢痕部症候群や次回妊娠時子宮破裂の予防を考えた場合の運針方法の工夫や,単結紮・二層縫合がよいなど結論が出ていることも興味深く読ませていただきました.また前置胎盤の最新の対応法なども紹介されて,帝王切開がこの数年で進歩していることを知りました.私は日頃,研修医に帝王切開を指導する立場にありながら,今までは自分が教わってきた古いやり方をそのまま指導してきただけで,今回大いに反省することになりました.
本書では研修部で表や解説の重複を省き,用語を統一し,最新であっても産婦人科臨床現場の先生方からコンセンサスが得られそうにない対応法は割愛させていただきました.研修医の先生や周産期学を専門外とする先生は日常臨床に役立つ最新の定義と知識,最善の対応法を学べ,周産期学を専門とする先生は知識の整理に役立つものと考えます.本書が日本の周産期医療のさらなる発展の礎になることを願ってやみません.
最後になりましたが,本書に貴重な時間を割いてご執筆いただきました先生方,編集,校正などにご尽力いただきました研修委員会の委員の先生方に深く感謝申し上げます.
(幹事 五十嵐敏雄 記)