(1)甲状腺疾患の診断
解説
(1)甲状腺疾患の診断
- 甲状腺疾患は,妊娠可能年齢の女性に好発する代表的な妊娠合併症であり,悪阻などの妊娠中のマイナートラブルに関連した症状(甲状腺機能亢進症に認める動悸,頻脈,神経過敏,発汗,甲状腺腫大,体重減少などや,機能低下症でみられる倦怠感,易疲労感,動作緩慢,嗜眠,寒冷不耐症など)として見逃されることが少なくない.また,これらの症状や徴候は,妊娠高血圧腎症の重症徴候にも類似している.
- したがって,妊娠前に見逃されていた甲状腺疾患の早期診断には,その症状を見逃さないことが診断の第一歩で,通常の妊娠として違和感を覚える上記の症状を認めた場合は,その可能性を常に念頭に置いて検査を行うことがポイントとなる.