(1)疾患の把握
・ 強迫的で不安症の性格傾向を背景に,挫折体験を契機に発症する.半数はダイエットで始まり,減量に伴う一時的な躁気分や達成感がやせる行動を促進する.やせには精神的な辛さのへ感受性が鈍磨し,嫌な現実を回避できるという心理的メリットがあるので,体重増加に抵抗する.
・ 少食の制限型と,飢餓の反動で過食が出現して嘔吐や下剤・利尿薬乱用でやせているむちゃ食い/ 排出型がある.
・ 発症に相関がある遺伝子が同定され,病前から不安に関する脳機能の脆弱性がある.罹患中のみ自分だけが太く見えるという視覚と固有受容感覚の統合障害があり,病識のなさに関係する.飢餓によって飢餓症候群と呼ばれる精神症状(抑うつ,不安や強迫性の増強,病的頑固さ,人柄の変化)が起こることは,健康人の半飢餓臨床試験でも証明されている.