(1)診断の手順

  • 本邦成人における気管支喘息の有症率は6~10%で,妊婦における気管支喘息の有病率も同程度である.
  • 妊娠中に増悪するリスクは妊娠前の状態と関連し,軽症例では約1割であるのに対して中等症,重症例ではそれぞれ約25%,50%とされる.
  • 主な自覚症状は反復する発作性の呼吸困難,咳で,夜間や早朝,あるいは運動・労作時に出現しやすく,また妊娠17~24週で生じやすい.
  • 咳喘息は,喘鳴や呼吸困難を伴わず3~8週間以上続く咳嗽を唯一の症状とする喘息の亜型である.20~40歳台の女性にみられることが多く,胃食道逆流によって誘発されることがある.咳が持続する妊婦が,反復する胸やけ,咽頭痛,酸味感,嚥下困難,心窩部痛などを伴っている場合は胃食道逆流を疑ってみる.