(1)Polyps:子宮頸管ポリープ,子宮内膜ポリープ

ポイント

  • 原則的には切除し,組織学的検査を行うことが望ましい.

 

  • 本項ではAUB のうち器質的な原因のポリープについての診断と対応について述べる.

1 )子宮頸管ポリープ

  • 子宮頸管ポリープは頸管粘膜が限局性に増殖した病態である.有茎性で表面平滑,外子宮口から露出し,接触により容易に出血する.子宮頸管部のポリープ状病変の大部分は子宮頸管粘膜ポリープであるが,子宮内膜ポリープや粘膜下筋腫の下垂,ポリープ状に発育する悪性腫瘍などとの鑑別が必要である.
  • 組織学的には,炎症性病変が多く,ほとんどが良性であるが,稀に悪性のこともあり,ポリープ全体(2,246 例)の約0.1%に悪性,約0.5%に異形成がみられたとの報告もある.悪性のポリープを肉眼的形態により診断することは困難なことも多く,腺癌や肉腫成分を含むポリープ状病変の報告もあるため,原則的には切除し組織学的検査を行うことが望ましい.

症状

  • 子宮頸管ポリープの多くは無症状である.子宮頸管内ポリープは排卵期や性交後の出血や,感染を起こす場合もある.

診断

  • 腟鏡診

治療

  • 治療は,インフォームド・コンセントの後に,外来で切除術を行うことが多い.切除することで組織学的な診断が可能であるメリットと切除時の軽度の痛み,切除後の出血などのデメリットを説明する.ポリープが大きい場合,基底部が広く,切除時に出血が多くなる可能性がある場合などは,入院,麻酔下での切除処置を考慮する.
  • 切除方法は,大きさによって,①ペアン鉗子などによる捻除術,②メスや鋏を用いた結紮・切除術,③電気メスやレーザーメスによる焼灼切除術,などから選択する.摘出標本は病理組織学的検査に提出し,患者には良性か悪性かの診断を伝える必要があるため,病理結果が出る頃に再受診を勧める.また切除部位の出血,感染,残存部の有無を確認するために内診をする.

2 )子宮内膜ポリープ

  • 子宮内膜ポリープは子宮内膜表面から内腔側へ突出した単発性あるいは多発性の結節で,内膜腺・血管・間質からなる.AUB を伴うことがあり,過多月経や過長月経により貧血となる場合もある.一般に,経腟超音波検査(TVS)で子宮内膜ポリープは高輝度像を呈する.TVS は月経終了直後の子宮内膜が肥厚していない時期に行うことが望ましい.
  • 子宮内膜ポリープは受精卵の着床を阻害する場合は不妊の原因になることもあるため切除が必要な場合もある.子宮内膜ポリープ以外の不妊因子がなければ,ポリープのサイズや個数にかかわらず子宮鏡下内膜ポリープ切除をすることで妊娠率が高まる.
  • 閉経後女性の子宮内膜ポリープを切除すると約1~10%程度に子宮内膜異型増殖症や子宮内膜がんが発見されることがあり,悪性を否定するために子宮内膜組織診,子宮鏡下内膜ポリープ切除術を行うことが望ましい.
  • 乳がん治療薬のタモキシフェンを服用している閉経症例では,子宮内膜ポリープ出現率は8~36%,そのうち3~10.7%に悪性所見がみられたと報告されている(Cohen I.Gynecol Oncol. 94:256-266,2004 PMID:15297160).タモキシフェン服用患者では子宮体癌の可能性も念頭におき,出血や内膜肥厚を認めた場合は組織検査を行う.

症状

  • 不正性器出血,過多月経,過長月経など.無症状の場合もある

診断

  • 子宮内腔に生理食塩水を注入して行うSHG(sonohysterography)
  • 子宮鏡検査
  • 閉経後や乳がん患者のタモキシフェン治療中の場合は,子宮内膜組織診,子宮鏡下内膜ポリープ切除を行う

治療

  • 子宮鏡下切除術

症例:子宮内膜ポリープ

  30 歳台 2妊1産

 月経不順のためプラノバール内服によって月経調整を試みた.内服後大量出血を起こし,経腟超音波検査(図10)にて内膜ポリープを疑った.子宮鏡検査(図11)を行い,子宮内膜ポリープの術前診断となり,AUB 原因除去のため子宮鏡下内膜ポリープ切除の方針となった.