JATEC(Japan Advanced Trauma Evaluation and Care)では,プライマリサーベイはABCDEアプローチ(表22)に基づき生命維持のための生理機能の維持,回復を最優先として検索,対処するとしている.
その次にセカンダリサーベイとして全身の損傷を系統的に検索する.迅速簡易超音波検査としてFAST(Focused Assessment with Sonography for Trauma)がある.FASTは出血の有無を評価する方法で,①心囊腔,②モリソン窩,③右胸腔,④脾臓周囲,⑤左胸腔,⑥ダグラス窩の順に液体貯留がないかを検索するものである.FAST陽性であれば緊急処置が必要な可能性が高い.陰性であっても時間をおいて再評価をすることが大事である.
これを産科用に修正したFASO(Focused Assessment with Sonography for Obstetrics)(図13)もあり,①子宮内と子宮の形状,②ダグラス窩,③モリソン窩,④脾臓周囲,⑤下大静脈径(10mm未満は循環血液量の著明な減少を疑う)をほかの手技の妨げにならないように1分以内で観察する.