(2)本邦におけるAUB 診療の特徴-海外と比較して
- AUB の主な症状は過多月経と月経周期異常であるが,日本産科婦人科学会による本邦におけるAUB 実態調査(21 頁 総論4 参照)で明らかとなったように,本邦では「月経間期出血」も,過多月経・月経周期異常に相当する頻度でみられるのが特徴といえる.
- そこで,図1では日産婦GL で提示したフローチャートを改変し,月経間期出血を異常子宮出血の主な症状に加えた.また,AUB が閉経前出血を対象とした概念であることを改めて強調するため,閉経の有無をフローチャートに加えた.
- この月経間期出血は不規則・一過性かつ軽微であることが多いため,医療へのアクセスが本邦ほど容易ではない海外での受診頻度は高くないことが推定される.これに対して本邦では,子宮頸癌検診受診率が海外と比べて低率であることを背景として,軽微な月経間期出血を契機として悪性腫瘍などを危惧して受診する頻度が高いことが推定される.
- 海外に比べて高頻度にみられる月経間期出血に対して,適切なAUB 診療(診断および治療・管理)を標準化することは,本邦では重要な課題と思われる.