ポイント
- 幻覚や妄想を主体として慢性に経過するため,継続的な薬物療法が必要である.
- 妊娠中の抗精神病薬治療は食欲を増進させ,高血糖を招きやすくなるので注意する.
- 産後は再発率が高く,再発すると,産褥精神病発症につながって入院を必要とすることが多い.
1)統合失調症の病態
- 症状は,陽性症状(ないはずのものがある症状:幻覚,妄想など),陰性症状(感覚鈍麻,自発性の低下など),認知機能障害に大別され,いずれも日常生活に支障を来す.
- 妊娠中の薬物療法の自己中断率が高く,結果として妊娠中~(特に)産後の再発率が高く,産後うつ病や産褥精神病の発症につながることがある.
2)統合失調症の診断
- 最終的には前述の陽性症状が表出するが,初期症状としての「気になることが増えて,過敏になって緊張している」様子など,なんとなく気になる様子があれば統合失調症を疑ってみることがポイントである.
- 診断は困難であるため,統合失調症が疑われたら,早めに精神科に診断を依頼する.
3)統合失調症の管理
- 精神科による薬物療法を中心とした精神療法が中心となる.
- 幻覚や妄想を主体として慢性に経過するため,継続的な薬物療法が必要である.
- 妊娠中の抗精神病薬治療は食欲を増進させ,高血糖を招きやすくなるので注意する.
- 統合失調症の治療中,いつもと違う様子があれば,かかりつけの精神科に対応を依頼する.
- 産後は再発率が高く,再発すると,産褥精神病発症につながって入院を必要とすることが多い.産後は,再発や悪化を予防するため,薬物療法の継続に加えて,育児の合間に休息・睡眠がとれるような育児支援を行う.
- 妊娠中の再発率を低下させるために,プレコンセプションケアによって,喫煙や飲酒などを含めた生活習慣の改善とともに薬物療法の継続を指導しておくことが重要である.