(4)二次発癌
長期生存がんサバイバーの中には原発巣に対する治療の影響により,二次発癌を起こす場合がある.特に悪性腫瘍の治療で後年に影響をもたらすのが放射線治療である.
1 )放射線の晩発性影響
少量の線量を長期間浴びることにより,長い年月の後に障害が現われることがある.このように数カ月以上の期間を経て起こる影響を晩発性影響という.晩発性影響には白血病や皮膚癌などの悪性腫瘍の誘発などが知られている.
2 )癌の誘発
放射線照射により,多くの生物種で,癌が誘発されることがわかっている.臓器ごとの放射線感受性はまちまちであり,発癌に至る放射線線量も,発生する癌の種類や部位によっても異なる.被爆による二次発癌臓器として主な部位は,乳房(女性),甲状腺,肺および消化器,肝臓,皮膚,骨である.造血系の幹細胞が癌化をすれば白血病を発症する.転移巣に対して照射を行った場合などには上記臓器の発癌リスクにも留意する.
3 )子宮頸癌放射線治療後の二次発癌
子宮頸癌放射線治療後には,骨盤内に再発するリスクだけではなく,膀胱,腎,直腸,卵巣など放射線照射部位内に二次発癌の癌を発症するリスクがある.治療後長期間を経てから骨盤内腫瘍や出血を認める場合には,両面を考慮して検索を行う.