(4)蕁麻疹などアレルギー症状を有する妊婦・授乳婦に対する薬物治療
- 授乳婦の内服薬使用について国立成育医療研究センター妊娠と薬情報センターのHP(https://www.ncchd.go.jp/kusuri/)を参照する.
1)抗ヒスタミン薬
- 現在までにわが国で承認されている抗ヒスタミン薬はすべて催奇形性の報告はない.
- 第2世代の抗ヒスタミン薬の中で妊婦の使用経験の蓄積と弱いエビデンスがあるロラタジンとセチリジン塩酸塩が一選択薬となる.さらに理論的にはそれらの体内活性化物であるデスロラタジン,レボセチリジンも同様に安全と考えられるが,現時点でエビデンスはない.
- 近年,抗ヒスタミン薬により治療困難であった慢性蕁麻疹に対し,抗IgE抗体(オマリズマブ)を使用した症例報告がある.
- 授乳婦に対して抗ヒスタミン薬はいずれも母乳へ移行し得るため妊婦と同様の薬剤が推奨される.
2)ステロイド
- 妊娠中は胎盤移行性が少ないプレドニゾロンを使用する.
- 胎児の先天異常全体のリスクは上昇させないが,口唇口蓋裂が数倍増えるという疫学研究が複数ある.しかし,口唇口蓋裂の疫学は700人に1人であることを考慮して使用を検討する.