(4)避妊指導のコツ「GATHER 法」
・ ジョンズ・ホプキンズ大学人口情報プログラムから「カウンセリングのための新GATHER 法の手引き」7)が出版されている.
・ 避妊指導に際しては,相手が思春期であろうと既婚者であろうと,避妊法の種類やそれぞれの使用法,安全性,効果,副作用などについてのきめ細かな情報を提供することが必要不可欠である.避妊指導を効果的に進めるとともに,それを相談に来られた若者(以下,若者)が日常の生活に採り入れられるようになるためにGATHER 法を知ることは有益である.
G= Greet clients:避妊相談に訪れた若者を丁重に迎えながら挨拶をする.そうすることで,若者が自信をもって,感じたことを何でも伝え,自由に質問し,決定できるようになる.
A= Ask clients about themselves:若者がどういう選択を迫られているのか説明してもらうとともに,若者とパートナーの年齢,社会的立場,経済力,性交経験の有無や性交回数などについてたずねる.また,避妊しなければならない理由も含めて,若者がどのような避妊法を望んでいるか,過去に使用した避妊法は何かなどについても問いかける.
T= Tell clients about choices:若者の年齢などを考慮して,様々な避妊法のリストを作成し,そのカップルにふさわしい避妊法は何か,その使用法,避妊効果や副作用などについて十分な説明を行う.
H= Help clients make an informed choice:それぞれの避妊法について,どのような問題があるかを話し,若者がその欠点と長所を考えることができるように援助する.また,それぞれの避妊法の問題点について,二人がどう感じているか,何が一番大切かなどについて考えさせる.最後には,自分たちが決めたことについてきちんと自分たちの言葉で話してもらう.しかし,如何なる避妊であっても選択するのは,私たち医療従事者ではなく若者自身である.決して誘導や無理強いをしてはいけない.
E= Explain fully how to use the chosen method:クライエントが避妊法を自分で決定した場合には,その使用法について詳細に説明するだけでなく,副作用や禁忌などについても話し,どのような時に使用を中止すべきかまで,懇切丁寧に情報を提供する.そして,クライエントが新たに始まる習慣をきちんと受け入れられるように支援する.
R= Return visits should be welcomed:いずれの避妊法を決めるにせよ,事後の指導を怠ってはいけない.また,クライエントが自分で決めたことについて再度考えさせ,心変わりをしたら別の選択ができるように情報を提供して支援する.