- シートベルトの着用により母体自身の重篤な外傷を回避でき,かつ胎児の死亡率および重症率が84%低下したとの報告もあり7),正しいシートベルトの着用(図14)は交通事故による母児損傷の予防に有用であるが,妊婦のシートベルト着用率は低い.
- シートベルトを毎回着用している妊婦は,着用していない妊婦に比べて交通事故に遭遇しにくいといわれている1).このように常に乗車時に安全に配慮していることは事故に遭遇するリスクを下げられる可能性があるため,交通安全やシートベルトの重要性,正しい着用法についての啓発が重要である.初回の妊婦健診時が啓発のよい機会と考える.事故の時にハンドルが腹部に当たらないように上方(顔や胸の方向)へ向けることも推奨される.
文献
- 1)Morikawa M. Seatbelt use and seat preference among pregnant women in Sapporo, Japan, in 2013. J Obstet Gynaecol Res. 42: 810-815, 2016
- 7)Klinich KD. Fetal outcome in motor-vehicle crashes: effects of crash characteristics and maternal restraint. Am J Obstet Gynecol. 198: 450 e1-e9, 2008