(5)小児がん患者に対する妊孕性温存療法選択時の留意点
・ 原則として,がん治療(原疾患の治療)が最優先されるべきであり,その治療を遅滞なく遂行することが大原則となる.
・ がん種にかかわらず将来の不妊リスクが高いがん治療を受ける小児がん患者は,治療内容と生命予後を考慮した上で妊孕性温存療法の対象となる.
・ がんとの共生する上で,妊孕性温存(生殖機能温存)のみならず,がんサバイバーの就学や就労に関する問題も同時に考慮すべきである(第 3 期がん対策基本計画:AYA がん医療の充実).
・ 妊孕性温存療法を施行するにあたり,小児特有の倫理的配慮と,インフォームドアセントとインフォームドコンセントが必要となる.本邦では,「中学生などの課程を未修了であり,かつ,16 歳未満の小児患者」を対象にアセントを得ることが望ましいとされている.
アセントとは,
①年齢に応じた自身の病状理解,②検査や治療により得られる結果とその意義についての説明,③病状の理解と意思決定に及ぼす要因の評価,④提案された医療に合意するかについての意思表明の過程からなる.
・ がん治療医,生殖医療医,看護師,臨床心理士,薬剤師,ソーシャルワーカー,チャイルドライフスペシャリストなど多職種との密な医療連携が重要である.