1.はじめに

 2011年3月11日の東日本大震災とそれに続く東京電力福島第一原発事故は,被災地の妊産婦に大きな衝撃を与え,その後も長い避難生活を強いることとなった.こういった災害時は,妊産婦や乳幼児がどのような影響を受け,変化したかを理解し,その後の影響を予測して対策を立てることが必要である.災害により身体的・精神的ダメージを受けると,妊産婦では流産や早産の危険性が生じることがあり,乳幼児では環境変化などの影響を受けやすくなり,体調を崩したり,赤ちゃんに戻ったような行動をとる「赤ちゃんがえり」がみられることがある.ここでは様々な災害に遭遇した時に妊産婦や乳幼児が身体的・精神的に受ける一般的な影響について解説する.