1.ストレス反応
人はその生活の中で,様々なストレスに曝されている.ストレスは,外部からの刺激によって生体内に生じる歪みの状態を指すが,定常状態ではこの環境の変化に適応し,生体内の環境を一定に維持させる「ホメオスタシス(生体恒常性)」が存在する. この恒常性が維持できなくなる状態が「ストレス状態」と考えられる.
ストレス学説を提唱したセリエは,ストレッサーによる反応について,ストレスを受けてからの時間経過とストレス適応状態によって『警告反応期』『抵抗期』『疲憊期』の3つの時期に分けた.このような反応を汎適応症候群(GAS:general adaptation syndrome)と呼ぶ.さらにセリエはストレスによって引き起こされる,副腎皮質の肥大,胸腺・脾臓の萎縮,胃・十二指腸潰瘍などの身体反応を報告した(セリエの3徴候).
災害によるストレスは以下の3つに分類される.
- 戦慄恐怖体験:死ぬかもしれなかった(トラウマにつながる)
- 喪失体験:大切なひとを亡くす
- 生活ストレス:水・電気・ガス・交通などのライフラインの遮断や避難所生活,後片づけなど