13.食物アレルギー・医薬品アレルギー・ワクチン副反応
ポイント
- 初診時に詳細なアレルギー歴の問診を行う.原因物質の聴取だけでなく,いつ,どのような症状があったかを確認する.
- アナフィラキシーの初期対応
可能ならば原因物質を中止する.気道/呼吸/循環の評価を行い,気道確保,高濃度酸素投与,大量輸液を行う.アナフィラキシーを疑った場合はアドレナリン0.5㎎の筋注を躊躇しない.妊娠中期以降の場合は子宮左方転移もしくは左側を下にして半仰臥位にする. - 1次施設よりアレルギー専門医,高度医療施設に紹介する基準と時期
アレルギー歴はあるが,原因となる食物・医薬品の診断が難しい場合や原因不明のアナフィラキシーを繰り返す場合は専門医もしくは高次医療施設にコンサルトする.
症例
23歳,G1P0,153㎝,非妊時50㎏BMI21/現在58㎏.妊娠40週1日,陣痛発来したため産科診療所に入院した.GBS陽性であったためビクシリン2gの投与を開始した.助産師が観察していたところ,投与開始から5分経過したところで患者は全身の皮膚が紅潮し呼吸苦を訴えた.アナフィラキシーショックを疑い,ビクシリンの投与を即座に中止し,応援を要請した.バイタルサインを測定しSp0289%,BP85/60mmHg,PR100回/分,RR30回/分であった.酸素10L/分をリザーバーマスクで投与し,細胞外液をフラッシュで投与した.さらにアドレナリン0.5㎎を大腿部に筋肉注射した.筋注後5分で呼吸状態は徐々に改善し,バイタルサインも安定し皮膚症状も消失した.すぐに高次医療施設に連絡し母体搬送した.