(2)シミュレーション基盤型教育コース
・シムを基盤とした教育コースが,浸透しつつある.例えば周産期救急については,ALSO(Advanced Life Support in Obstetrics),日本母体救命システム普及協議会(J-CIMELS),ピーシーキューブ(PC3)など複数ある.これら教育コースは,年を重ね教育法が洗練され,内容も定期的に再検討されている.
・修練中は無論,指導者こそ強く受講を勧めるが,以下のような問題点が挙げられる.
1)時間の制約
・講習時間は,4時間(J-CIMELS)から2日間(ALSO)まで教育内容により異なるが,時間が必要であることに変わりはない.開催日は,指導者確保の面からも週末が通常であり,開催回数が限定される主な要因になっている.開催回数の限定は,勤務との兼ね合いから遠方のコースに応募せざるを得ない受講者が生じる.
2)経済的負担
・コースの質の担保,加えてシムの満足度の向上には,ある程度のリアリティーの追求と体験時間の延長,指導者の確保が必須である.いまだシムの器材は高価格であり,指導者はその不足から遠方より招聘するコースも少なくない.以上の理由から受講費の減額は困難である一方,勤務先などから受講費の支援が得られる受講者は一部にとどまっているのが現状である.
3)レディーメイドの講習内容
・多施設からの指導者・受講者からなるコースは,内容を画一化せざるを得ない.画一化した内容は,受講者のニーズと乖離が生じることや,受講者の施設で導入困難な内容になり得る.乖離の大きさは,受講者の満足度低下の一因になる.