2.広域災害救急医療情報システム(EMIS)
DMATが情報共有システムとして利用しているシステムである.これは,被災した都道府県を越えて情報共有できるシステムであり,医療機関の稼動状況など災害医療にかかわる情報を共有し,被災地域での迅速かつ適切な医療,救護にかかわる各種情報を集約,提供することを目的としたシステムである.具体的には,
- 病院の被害状況
- 災害医療支援チームの支援活動状況
- 医療搬送情報
- 避難所情報など
が共有できる.
周産期医療センターがある医療機関はすべて登録されているが,助産所などを含めてすべての分娩取扱施設が登録されているわけではなく,登録状況は都道府県によって異なる.病院の被害状況においては,ライフラインの状況,倒壊の有無,傷病者受け入れ状況などは共有できるが,分娩対応可否,MFICUやNICUの受け入れ可否や空床数など周産期医療に特化した情報を入力する項目はない.そのため,周産期医療にかかわる情報を共有するためには,別の共有システムが必要となる.DMATは主に, EMISから情報収集を行っているため,周産期医療に関する情報を把握できていないことが多い.災害時小児周産期リエゾンなど周産期医療従事者から,周産期医療に関 する情報は提供する必要がある.