3.おわりに
本章では大阪を例に小児周産期リエゾンの全体図を概説した.ここで述べておきたいのは災害時に特別なシステムを起動しても十分な対応できないということである. また,一般施設では災害時にリエゾン頼みでよいかというとそうではない.そのためには災害訓練への参加や自施設が災害時に残されたインフラをどのように活用できるか,自施設にかかっている患者に対して診療の継続をどうするかなどのいわゆる事業継続計画書(BCP)を策定しておく必要がある(41 頁参照).その上で妊産婦が自らを護る方法や相談方法や受診場所すなわち「自助」について指導し共に考えること,発災から数時間から数日かけて物資の確保や乳児・妊産婦の避難調整をする小児周産期リエゾンなど「共助」のシステムとどうつなげるかを考えること,そして亜急性期以降に被災者の日常を取り戻す手段を講じる「公助」に積極参加すること,これら「自助・共助・公助」を平時より実践すべきであると考える.