4.がん患者の相談支援
・ がん患者は,診断から治療,療養生活,さらには社会復帰といった生活全般へ不安を抱き,多くの問題に直面する.
・ がんの経過のどのような時であっても,患者・家族がいつでも相談できるように,院内外に様々な窓口が開設されている.その概要について説明していく.
(1)がんに関する相談窓口~がん相談支援センター~
1 )がん相談支援センターとは
・ がんの治療や療養に際して,患者・家族・地域の人々の様々な相談に応じる窓口として,「がん相談支援センター」が設置されている(図46).
・ このような相談支援体制の整備は,がん診療連携拠点病院の整備に関する指針(平成 18 年 2 月 1 日)により始まり,がん対策基本法(平成 18 年 6 月 23 日)に基づき策定されたがん対策推進基本計画(平成 19 年 6 月 15 日)の分野別施策としても盛り込まれてきた.
・ 窓口では,相談内容に応じて看護師やソーシャルワーカーなどが対応しており,主治医とも連携を図りながら支援を行っている.必要に応じて,様々な領域の専門看護師や認定看護師を紹介するなど,多職種によるサポートを調整する場合もある.
・ がん相談支援センターを探すには,ウェブサイト「がん情報サービス http://ganjoho.jp」などから全国の窓口情報を検索できる.通院している病院に限らず,全国どこでも相談が可能となっている.
2 )よくある相談内容
・ 相談内容には,検査・治療・副作用,医療者とのコミュニケーションについて,経済的負担や支援について,療養生活,緩和ケアについてなどが挙げられる.
(2)がんに関する交流の場
・ がん患者や家族は,時に「同じような立場の人と話がしたい」「同病者に体験談を聞きたい」といった思いを巡らせる.がん患者や家族が療養体験や気持ちを分かち合い,支え合う場として,患者サロンや患者会,ピアサポートなどが挙げられる(図47).
・ がん診療連携拠点病院では,患者サロンなどの場を設けることが施設の指定要件とされている.がんサロンや患者会などの情報は,がん相談支援センターへ問い合わせが可能である.
(3)その他の相談窓口の例
① がん看護外来:専門的な知識や技術を持った看護師が,意思決定や症状への不安を抱える患者・家族に対し面談を通して解決策を考えていく外来である.
② まちの保健室:学校に保健室があるように,地域にも気軽に行ける相談窓口づくりをとの目的で始まった.がんに限らず相談が可能であり,日本看護協会,全国の都道府県看護協会にて展開されている.