Q10．高度肥満妊婦に対する帝王切開の注意点は？

ポイント

• 診療所でどこまで対応すべきか，また肥満妊婦帝王切開時のコツについて述べる．
• 肥満妊娠に伴うリスクは高く，どのような施設においても日常診療でしばしば遭遇する．『産婦人科診療ガイドライン産科編2020』では，日本肥満学会の基準により妊娠前体格指数（body mass index：BMI ＝体重［㎏］/ 身長［m］2）25 以上を肥満としている1）．
• 肥満妊婦において確立した分娩方法はないが，帝王切開率は非肥満妊婦と比して高いことに加え周術期合併症の頻度も高いため合併症の予防対策は非常に重要である．本稿では肥満妊婦の帝王切開に関して，判断基準や対応策の要点をまとめた．

（1）肥満妊婦の分娩方法

• 肥満妊婦の分娩方法に関しては，患者背景や施設の設備，人員，他科との連携システムなどをはじめとする様々なポイントにより総合的に判断する必要があるため，そのチェックポイントをまとめた（表７）．

（2）帝王切開に伴う合併症の予防

• 帝王切開を施行する場合，予防対策を行うことでできるかぎり合併症を予防することが勧められる．現在推奨・報告されている予防法や対応方法を含め表にまとめた（表８）．

文献

１）産婦人科診療ガイドライン産科編作成委員会．産婦人科診療ガイドライン産科編2020.
２） Clark-Ganheart CA, et al. Pregnancy outcomes among obese women and their off- spring by attempted
mode of delivery. Obstet Gynecol. 126：987-993, 2015
３） Enomoto K, et al. Pregnancy Outcomes Based on Pre-Pregnancy Body Mass Index in Japanese Women.
PLoS One. 11：e0157081，2016
４）Blomberg M : Maternal obesity, mode of delivery, and neonatal outcome. Obstet Gynecol. 122：50-55，2013
５） Darouiche RO, et al. Chlorhexidine-alcohol versus povidone-iodine for surgical-site antisepsis. N Engl J Med.
362：18-26，2010
６） Aneta SJ, et al. A Systematic Review and Meta-Analysis of Wound Complications after a Caesarean
Section in Obese Women. J. Clin Med. 10：675，2021
７） Zaki MN, et al. Wound Complications in Obese Women after Cesarean: A Comparison of Staples versus
Subcuticular Suture. J. Perinatol. 36：819-822，2016