子宮頸癌について教えてください
子宮頸癌について教えてください
子宮頸癌は子宮の頸部に発生する癌で、日本における子宮頸癌の罹患数は子宮頸がん検診の普及によりこれまで漸減傾向にありましたが近年はやや増加傾向です。特に20-30代の若年発症例が急速に増加しており問題となっています。
発生原因として、多くはヒトパピローマウィルス(human papillomavirus : HPV)が関与しています。子宮頸部へのHPV感染はほとんどが性交渉によるもので、HPV感染は多くは一過性のものですが、感染が長期間続くとごく一部が前がん病変を経て癌化すると考えられています。世界のデータでは、もっとも高頻度に検出されるのは16型で、ついで18型でありこの2つのタイプで約70%を占めています。日本においても16型と18型が占める割合は約70%です(Jpn J Clin Oncol 44(10)910-917,2014)。現在、日本で接種できる子宮頸がんの予防ワクチンは2種類あり、どちらも16型と18型の2つの型に対して感染予防効果を持っているため、適切なワクチン接種により約70%の子宮頸がんが予防できるものと考えられます。
子宮頸癌の進行はⅠ期からⅣ期までの4段階に分けられ、日本においては子宮頸癌治療ガイドラインにより臨床進行期に合わせて治療方針が推奨されています。前がん病変からⅠA1期まで(がんの大きさが7mmをこえず浸潤が3mmまで)は子宮頸部を一部切除する子宮頸部円錐切除術により子宮温存が可能ですが、標準治療としてⅠA2期(がんの大きさが7mmをこえず浸潤が5mmまで)以上では骨盤リンパ節郭清を含む準広汎子宮全摘出術以上の手術が推奨されており、子宮の温存は困難です。
ⅠB1期以上の進行癌の治療は手術療法(広汎子宮全摘出術)、放射線療法(抗癌剤を併用併用することもある)、化学療法(抗癌剤)であり、これらを組み合わせることもありますがいずれも妊娠の可能性は無くなります。
初期の子宮頸癌は自覚症状がなく、そのために発見が遅れ、気づいたときには既に進行していたというケースも少なくありません。定期的に子宮頸がん検診を受けていただくことが重要です。