愛媛県立中央病院産婦人科における働き方改革

近藤 裕司

愛媛県愛媛県立中央病院産婦人科における
働き方改革

愛媛県立中央病院
総合周産期母子医療センター長
近藤 裕司

2024年度からの医師の働き方改革に向け、愛媛県においても各施設で様々な取り組みが始まっているところです。今回、愛媛県立中央病院産婦人科における働き方改革についての取り組みと今後の課題について述べさせていただきます。

愛媛県は、人口約130万人で、年間約8,000人の出生を、スライド1にお示しする周産期医療体制でカバーしています。当院は救命救急センター併設の総合周産期母子医療センターとして多くの母体搬送を受け入れるなど、中心的な役割を果たしています。

スライド1

当院の産婦人科医師数には変動がありますが、現在常勤医8名と後期研修医が3名、および非常勤医2名で診療を行っています。勤務体制は、定期手術1列と外来午前4診、午後2〜3診とに加え、MFICU専従1名+病棟担当1名でフル稼働している中で、緊急搬送や緊急手術に対応しております。当直体制は、MFICU(専従)1名とオンコール1名で、分娩数は近年減少しておりますが、年間930例の分娩と、260例の緊急母体搬送、240例の緊急帝王切開を行っております。当直時に一睡もできない日も多々あり翌日勤務は困難なため、当直明けは勤務免除としております(スライド2)。当直体制は、MFICU当直(専従)1名とオンコール1名ですが、当院の人員のみでは当直体制が維持できないため、大学病院からの応援医師に頼っているのが現状です。

スライド2

働き方改革に向け、診療科として直ちに行えることとして、主治医の休日回診を中止し、処置などは当直医とオンコール医で行うこととしましたが、今後は複数主治医制やチーム制への移行を検討中です(スライド3)。宿日直許可に関しては現在検討中ですが、当科の業務量から宿日直許可は得られないと考えています。幸い当科は、以前より当直明けを勤務免除としておりましたので、宿日直許可が得られなくても、勤務間インターバル制限はクリアできます(スライド4)。しかしながら、宿日直許可が得られない場合は、外部からの当直応援医師の時間外勤務が長時間となり、働き方改革で上限が絞られていく中で、継続いただけるか心配なところです。

スライド3
スライド4

今後の課題としては、業務の効率化を図っても、現在の人員でA水準に達することは困難で、産婦人科勤務医が働き方改革を実現するためには、分娩施設の集約化が必須であると考えます(スライド5)。

スライド5

事例紹介