近年、生殖医療の進歩は目覚ましいものがあります。それに伴い従来の不妊治療では妊娠が望めなかった難治性不妊患者様の治療も可能となってきました。
不妊の原因は多岐にわたっていますので、まずは原因検索からスタートし、ステップアップ方式で治療をすすめるのが一般的です。不妊治療は基本的には3段階で行います。
図は代表的な方式ですが、まず第1ステップとしてルーチン検査(基礎体温測定、子宮卵管造影、フーナーテスト、精液検査、ホルモン測定、通気テスト、等々)の後、場合によっては精密検査(腹腔鏡検査、子宮鏡検査、等々)に進みます。この時点で排卵障害、子宮筋腫、子宮内膜症、乏精子症などの男性側の疾患などと原因が確定される場合には、各々の原因に対する治療をまず行います。原因がはっきりとは認められない場合にはタイミング療法を行います。6か月〜1年間妊娠されない場合には夫婦間人工授精を行います。この段階で妊娠に至らないカップルに対しては、機能あるいは質を高める治療として排卵がある場合でも排卵誘発法を併用した上で夫婦間人工授精を行います【ステップ2】。
以上のような一般不妊治療を2年間程度行っても妊娠に至らない場合には高度生殖補助医療(ART)が適用になります【ステップ3】。ただし、ステップ1で両側卵管閉鎖と診断される場合には早期にステップ3に進みます。日本産科婦人科学会では移植胚数を原則として1個としていますので、余剰胚に対しては凍結・融解・胚移植をおこないます。最後に、35歳以上の不妊症の方の場合には卵細胞の質を考慮に入れ、可及的早期にステップ3に進まれることが必要です。
山口県では、高度生殖補助医療(ART)【ステップ3】を行える施設として日本産科婦人科学会認定施設の中から、次の6施設を指定しています。不妊治療を受けられる場合には、各々の施設においてよくご相談をいただければと存じます。