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新生児聴覚スクリーニングマニュアル
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新生児聴覚スクリーニングマニュアル
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平成19年3月


厚生労働科学研究
子ども家庭総合研究事業
「新生児聴覚スクリーニングの効率的実施および
早期支援とその評価に関する研究」班




はじめに

 言語発達には臨界期があるために、聴覚障害の発見が遅れて適切な時期に支援を受けられないと、充分な言語力を得ることが困難になる。聴覚障害児のQOLを高めるためには早期に発見して適切な支援を行うことが必要である。近年、聴覚検査法の開発が進み、新生児期に正確な聴覚検査が可能な検査機器が普及してきた。 これらの検査は非侵襲的に短時間で多くの児に対し実施可能である。本研究班に於いては平成10年からこれらの機器を用いて新生児聴覚スクリーニングの検討を行い、その有効性を明らかにするとともに、新生児スクリーニングによる発見および早期診断、早期支援を行った聴覚障害児の言語力が健聴児と変わらないレベルに達する事も示した。
 本邦においては平成12年度に新生児聴覚検査事業実施要項が出され、平成13年度より平成18年度までに18都道府県において新生児聴覚検査事業が実施されてきた。
 日本産婦人科医会による平成17年度の調査では、分娩取り扱い施設の約60%が新生児聴覚検査を行っている。また、難聴幼児通園施設および聾学校教育相談における0〜1歳児の60%以上が、新生児聴覚スクリーニングにより発見された児であり、平成18年現在、全出生児の約60%以上がスクリーニング検査を受けていると推定される。
 新生児聴覚スクリーニングの有効性は明らかであり、先進国ではすでに標準医療となっている。本邦では少子化が急速に進む中で、一人一人の子どものQOLを確保することは従来にもまして重要である。しかるに、平成19年度以降、新生児聴覚スクリーニング検査費用に対する国からの補助金は廃止された。今後は各自治体において、一般交付税を財源とした取組が可能とのことなので、積極的に新生児聴覚スクリーニングを実施され、その際に本マニュアルを活用されることを強く願う。


平成19年3月 
厚生労働科学研究(子ども家庭総合研究事業)
「新生児聴覚スクリーニングの効率的実施および
早期支援とその評価に関する研究」
主任研究者 三科 潤



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