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■家族の看病・介護

  • 仕事を続けていく上で、家庭との両立が必要なライフイベントは妊娠・出産・育児だけではありません。自分や家族が病気になったとき、介護が要る状態になったときには仕事をセーブしたり、ペースダウンする必要が出てきます。これは男女に関わらず重要な問題です。
  • 子どもが一時的に熱を出す、伝染病で数日保育園を休む、などの場合と異なり、成人の看護や介護は長期間となる可能性もあり、また、時期的な見通しも立ちにくいものです。介護による退職が社会問題となってきていますが、仕事と両立できるように、なるべく転職や退職をしなくて済むよう、地域の支援情報を集め、職場とよく相談しましょう。
  • 交替勤務やワークシェア、短時間正規雇用などのシステム改革は育児中の女性だけでなく看護や介護に関わる可能性があるすべての人に有効です。ワークライフバランスを考えた勤務体制の普及が望まれます
【家族の看病・介護】
交替勤務で働ける病院に転職し、母の介護をすることができました。
Dさん(男性)

 5年前、元気だった父が食道癌の診断を受け、しかもかなり進行し予後が厳しいかもしれないという連絡がありました。実家は遠く、私も忙しいためこれまで帰省は年に数回程度。兄弟姉妹はいないため主治医の説明は母だけでなく医師である私が立ち会ったほうがよいだろうと年次休暇を2日取り実家に帰りました。すっかり痩せてしまった父の姿をみて愕然とし、もう少しこまめに帰省して様子をみてあげればよかったと悔やまれました。
 子として父の側についてやりたい気持ちでいっぱいでしたが、そう長く休暇を取れない職場環境であり、父の看病は高齢の母に託して辛い気持ちで仕事に戻ってきました。週末も当直のない日には様子を見にいくようにしましたが、日帰りのためゆっくりすることもできず、それから3ヶ月で父は亡くなりました。残念ながら最期にも立ち会うことはできませんでした。休もうにも代わりがいないため、自分が体調不良でも無理して出勤せざるを得ない毎日でした。
 幸い、その後、交替勤務で働ける病院に転職しました。昨年、母が脳梗塞で入院しました。夜勤の前後は勤務がフリーとなることを利用し、木曜と月曜に夜勤を行い、夜勤明けの金曜朝から入りの月曜夕方まで連続して病院を離れ、母の介護をすることができました。介護のために仕事を辞めたり非常勤に変わらずに済んだのは交替勤務制のおかげだと思い、有り難かったです。

医療現場で仕事を続けながら、介護を続けていきます。
Eさん

 次女に障害があり、一時は仕事を辞めて世話に専念しようと思っていました。そんなとき、同じ病気の子どもをもつ親の会のメンバーが、「せっかくの資格を活かして仕事を続けたらどう? 介護に専念するのもいいけど、かえって煮詰まってしまうこともあるし、産婦人科医も足りないというから是非頑張って!」と励ましてくれました。
 日中は施設に通所するため日勤の仕事はできましたが夜勤や当直は難しい状況でした。外来や病棟管理の日勤で週4日だけでも常勤として働ける病院があり、そこに勤務しています。私の他にも子育て中のため、同じように昼間だけの仕事をしている人が1人います。昼間だけでも来てくれるので、おかげで自分たちの勤務時間が減って助かるよ、と他の常勤の先生たちが声をかけてくれるので働きがいがあります。勤務時間が少なく当直をしないため、多少報酬は低めではありますが、それでも産婦人科医として働けるのはとても嬉しいです。娘の介護の経験から患者さんや家族の立場もより理解できるようになったと前向きに考え、これからもできるだけ医療現場で仕事を続けていきたいと思っています。