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キャリアアップ Part1. 学会などに参加しましょう

■子どもが小さいうちは、研修参加の機会が少なくなりがち

 「学会や研究会、研修などに参加してみたい」と思っても、子ども、とくに未就学児がいる場合には、託児をどうするかが大きな問題となります。自分の留守の間の手配などを考えてつい億劫になってしまい、参加を見合わせてしまってはいませんか。日常の仕事や育児で、時間に追われて余裕がないため、週末くらいは子どもとゆっくり過ごして家事も片付けたい、と思うこともあるでしょう。 また、子どもが小学生になっても、週末に習い事の送迎や勉強をみてあげる必要があったり、子どもを家に留守番させることは難しい、などの理由で遠方はもちろん近場であっても参加するのがおっくうになってしまいます。

■周囲に気兼ねも・・・

 学会や研修会の会場に赤ちゃんを抱っこしたり、子どもの手を引いたりして参加されている人をときどき見かけます。騒いだりしないか・・・と周囲に気兼ねして、ゆっくり講演を聞けないこともあるでしょう。また、子どもの方も退屈にしていることもあるかもしれません。

■託児室を上手に活用!

 最近では有料・無料の託児室を設けたり、周囲の託児サービスを紹介するなど子連れの参加者への配慮のある学会も増えてきました。しかし、せっかくのサービスも利用者が少なく、実績が乏しければ設置が続かなくなってしまいます。

 託児室を利用する場合には、早めに申し込みを行い、無断キャンセルなどしないようにしてください。学会側では、利用者数によって保育士数やスペースなどを計算して準備しており、補償保険や運営予算などに関わってきます。また、お子さんのアレルギーや保育上の注意などがあればきちんと伝える、お迎え時間を守るなど、ルールやマナーを守って利用しましょう。これから利用する後輩たちのためにも、託児室が継続設置されるようにしていくことが大切です。



■学会参加は貴重な体験!


 学会では最新の知見・情報を得たり、他の医療機関での症例について勉強したりすることができます。これらは雑誌などである程度は勉強できるかもしれません。ディスカッションの方法や考え方などを学び、懇親会などでさまざまな人との交流をはかる、ということは実際に参加しないとできない貴重な体験です。
 女性医師、子どものいる女性医師も、是非学会や懇親会にもっと積極的に参加し、自己研鑽に務め、質問したり、発言していくことが求められます。

【学会などに参加して】
日本産婦人科医会の託児室を利用して、充実した1日でした。
Sさん

 私には0歳児がいます。この秋、育児休暇から復帰したばかりです。先輩に「復帰の機会に日本産婦人科医会の学術集会で臨床に役立つ勉強ができるので是非申し込んでみたら」と勧められ参加してみました。託児室の利用は初体験でしたが、専門のベビーシッターさんが手厚く保育してくださり、子どもも楽しく過ごしたようです。家にはないおもちゃが気に入って、帰るときにもなかなか手放したがらないくらいでした。私自身も子どもを安心して任せて、いろいろな講演を聴き、たくさん勉強できたので母子とも充実した一日でした。医会には、託児室を設置していただけてとても感謝しています。

土日の学会には、なかなか参加できないのが悩みです。
Hさん

 うちの子は小学2年生です。学会が土日にあるときなどは学童保育も閉まっており、託児室も未就学児対象で利用できず、かといってまだ1人で留守番させるのは心配な年頃です。私の場合、土日の学会には、なかなか参加できないのが悩みです。とくに若手の症例発表が多い地方部会などでは、「発表できるチャンスが回ってきそう」と思っても、子どものことを考えると「参加が難しいかもしれない・・・」と遠慮して、機会を逃してしまうこともあります。たまに参加できたときでも、早く帰らなければ、と気が気でなく、懇親会にはほとんど参加できません。
 ある会場にいた小学生くらいの子どもは、待合室でドリルのようなものをやらされていて、ときどきお母さんが会場から出てきてはチェックをしていました。周りが知らない大人ばかりのところでは子どもも勉強に集中できないのではないか、と思いかわいそうでした。また別の学会では託児室がなく、小さい子を膝の上に乗せて発表を聴いている方もいましたが、子どもが騒いだらすぐ出て行けるようにと、後ろの隅の席にすまなそうにして座っていました。





Hさんの先輩Kさん

 確かに学会や研究会などは大人のペースに合わせて開催しているので、子どもにとっては楽しくないかもしれませんね。せっかくのママとのお出かけなのに、おとなしくしていなさい、勉強して待っていなさい、といわれてはなおさらかもしれません。親が安心して学会に参加するためには、子どもがその時間をどのように過ごすかを子どもの目線で考えてあげることが大切ではないでしょうか。
 思いきって自宅にシッターさんにきてもらい保育してもらうのも一つの選択肢です。学童向けのシッターサービスでは、学習の見守りやおやつの世話、学習や絵・音楽などを教えてくれる専門シッターのオプションなども増えてきました。もちろん学会に託児室の設置有無を確認し積極的に利用しましょう。今後、専門医取得のためにも学会発表は欠かせません。ぜひ自分の発表だけでなく他の人も発表も聴いてどんどん勉強してください。

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キャリアアップ Part2. 広げようネットワーク!

■指導的立場に占める女性の割合


 2020年までに指導的立場に占める女性の割合を30%にしていこうという「202030」という政府の数値目標があります。女性医師においても学会や医師会で評議員や役員に占める女性医師の割合は、諸外国に比べてきわめて低いものとなっており、大きな課題となっています。

■仕事以外の組織運営に関する業務

 本来の業務以外に、会社や病院など組織においては、さまざまな委員会や連絡会議などの組織運営に関する管理業務があります。最近では業務時間内に開催しようという動きも出てきていますが、まだ多くの場合、夕方あるいは早朝に行われています。また組織内だけではなく、業界団体などで横断的に開催される会合もあります。こちらも夕方以降や休日に開催されるケースがほとんどとなっています。

■女性の社会進出とは

 仕事、家事、育児など多くの日常業務に追われていると、生活のための時間のやりくりだけでも精一杯で、この上、さらに別の仕事を引き受けるのは『とても無理』と考えるのはふつうのことです。しかし、大切な意思決定を他人任せにしてよいのでしょうか? また、「女性の社会進出がめざましい」といわれるものの、固定した社会通念という大きな力(女性は出しゃばりと思われたくない)に知らず知らずのうちにとらわれてしまい、つい一歩後ろに引いてしまうこともあるかもしれません。

■将来のためのトレーニングの一つ!


 組織の内外で開催される会合で様々な人の意見を聞き、議論の流れを知り、物事が決まっていく過程に参加することは、一見退屈で時間の無駄のように思われがちですが大切なことです。たとえ少数意見であっても自分の立場からの意見をしっかり述べていき、現状を改善していこうとするプロセスが欠かせません。何よりもメンバーとして席について会合に参加するチャンスがなければこうしたトレーニングを積むことすらできません。
 管理職やリーダーとして活躍していく人材をどのように選び、育成していくかは男女問わず組織における重要な課題です。もちろん本人の自覚と努力も大切ですが、組織におけるポジティブアクション等の制度改革について今後議論が進んでいくことが期待されます。

■将来のためのトレーニングの一つ!

 院内外での会合で様々な人の意見を聞き、議論の流れを知り、物事が決まっていく過程に参加することは大切なことです。たとえ少数意見であっても自分の立場からの意見をしっかり述べていくことは現状を改善していくためには欠かせません。何よりもメンバーとして参加するチャンスがなければこうしたトレーニングを積むことができません。
 将来的に女性医師の比率がますます高まっていく中で、管理職やリーダーとして活躍していく人材を男女問わずどのように育成していくかは重要な課題です。もちろん本人の自覚と努力も大切ですが、学会や医師会などの組織におけるポジティブアクション等の制度改革について今後議論が進んでいくことが期待されます。

【学会などに参加して】
いつかは 引き受ける日がくる
Tさん

 医局生活が長くなってきたせいか、いよいよ医局長のポストが自分に回ってきました。院内外の会議も多いし、仕事も増えるし、何よりも夕方遅くなる機会が増えて困るな、と思っていました。学年順で自分がやらなければ次はずっと若手に任せることになるのでしぶしぶ引き受けることにしました。
 幸い息子が小学校高学年になり、夕方遅くなっても以前ほど困らないので何とかできるかな、と思ったのも引き受けた理由のひとつです。
 実際やってみると、医局長ってこんなに大変だったのか、と思うことばかりでしたが、何とか任期を務め上げることができました。その間は、つい帰りが遅くなりがちで家族にかなりサポートしてもらわなければなりませんでした。実は子持ち女性医師でつとまるのか、と言われていたこともあり、後輩のためにも先例となれるよう頑張ろう、と少し無理したところもありました。でも、医局内外のさまざまな人、同窓の先生などとのつながりが深まり、自分にとってはよい経験になったと思います。

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