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不妊治療の用語

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ここに載っている用語

黄体機能 不正出血の原因 子宮筋腫 子宮内膜症 子宮腺筋症 卵巣嚢腫 尿中LH 高プロラクチン血症 FSH HMG HCG 洗浄精液 習慣流産 黄体化未破裂卵胞

小さな疑問
 Q1 自然月経周期と月経周期と正常な月経周期って どう違うの?
 Q2 消退出血の5日目からHMGを投与するって その消退出血はいつ?

 

 

黄体機能
 卵巣には卵胞(卵を包んでいる袋)が存在します。その卵胞が成熟して(自然月経周期で卵胞径約2cmで)卵胞内の卵が排出されます。いわゆる排卵です。経腟超音波を用いると卵胞径を計測することができます。
 排卵した後、卵胞内の細胞が(その色調が黄色いため)黄体と呼ばれる組織になります。この組織から分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)には、
  ・基礎体温を上昇させる作用
  ・着床するのに必要な子宮内膜の状態を変化させる作用
  ・着床後の妊娠維持に重要な働きをつかさどる作用
があります。
 黄体ホルモンの状態を見るのに、基礎体温や血中のプロゲステロン値を測定する方法などがあり、それらの状態によって黄体の機能を推測しています。
 なお、黄体期というのは妊娠が成立しない場合には、およそ14日程度しか持続しないのが一般的です。
 

 小さな疑問  自然月経周期と月経周期と正常な月経周期って どう違うの?

 

自然月経周期
特殊な治療を行わず、自然な状態では月経の周期が人によって異なります。統計的に、日本人の月経周期をみると、平均で28〜30日になります。
平均で26日以上34日以内を正常な月経周期としている場合が多いです。
平均して25日以内に出血する人や、35日以上かかって出血をみる人もいます。
一般的に、25日以内で出血する人には、排卵を起こしていることが少なく、本人が月経と思っていてもその出血(破綻出血)は、排卵を起こした後の本来の月経(消退出血)とは異なります。
35日以上かかって出血するする人には、排卵がなくて出血(破綻出血)する人や、排卵はあって排卵するまでに非常に時間のかかる人がいます。
 正常な月経周期であったとしても、排卵が起こらずに出血(破綻出血)する場合もあります。このような状態を無排卵性周期症と呼んでいます。
いずれにしろ、本人が周期的に来る出血を、正常な排卵があってからの出血、いわいる月経であるかどうかを認識しているかどうかによって、考え方が根本的に異なってきます。
 
月経周期
月経が発来した初日を1日目として、次の月経が発来する前日までの日数を月経周期といいます。平均的には28〜30日であることが多いです。
 
正常な月経周期
正常な月経周期というのは、日数もふくまれますが、月経の開始から次の月経発来までの間に排卵という現象が起こっているような月経が周期的に起こる状態をいいます。
 

不正出血の原因  

 月経による出血(性成熟期の女性が正常な排卵を有し周期的に子宮の内膜が剥離して起こる出血)以外の子宮からの出血を不正出血といいます。 
 正常な月経周期を有していても排卵の直前に少量の出血を認めることがありますが、これは、排卵直前に起こる卵胞ホルモン(エストロゲン)の低下に子宮内膜が反応し一部剥離する(消退出血)現象で、異常出血とは考えません。
 このような時期以外に起こっている出血かどうかを知るには、基礎体温を測定することが有効な手段となります。
 不正出血の原因に考えられることは、
     ・子宮腟部のびらん
     ・腟内の炎症(各種腟炎;ウイルス性腟炎・細菌性腟炎・
            トリコモナス腟炎・萎縮性腟炎など)
     ・子宮頸管ポリープ
     ・子宮頸部の悪性腫瘍
     ・各種ホルモン剤の使用時
     ・妊娠性のもの
     ・子宮筋腫
     ・子宮体部の悪性腫瘍
    などがあります。
 

 小さな疑問  消退出血の5日目からHMGを投与するって その消退出血はいつ?

 

消退出血

血液中のホルモン(エストロゲンやプロゲステロン等)が、低下することによって、子宮内膜が剥離(剥がれる)して起こる子宮からの出血のこと。
例えば、月経(生理)や排卵直前に起こる出血。また、ピルなどを服用して服用後に起こる出血も消退出血の一種。
 
破綻出血
消退出血と異なり、血液中のホルモンが持続的に存在し続けることによって、子宮の内膜が増殖し続け、内膜が一部剥離することによって起こる出血のこと。多くがエストロゲンの作用によって起こる場合が多い。
例えば、排卵があって月経周期が60日あるような人の場合、黄体期はおよそ14日しか続かず、排卵までに46日かかる計算になる。排卵までの間にエストロゲンが少量ではあるが出続ける。この様な時には、排卵までの間に少量出血する場合があり、これを破綻出血といい、月経とは違う出血である。また、無排卵性周期症もその代表的な疾患といえる。

したがって、消退出血は月経の最後の頃のことではなく、月経そのものが消退出血と考えます。

 

子宮筋腫

 手や足を動かす筋肉を横紋筋と呼び、内臓の食道・胃・小腸・直腸などは、平滑筋と呼ばれるものからできている場合が多いです。この組織の一部が他の正常な平滑筋と異なる増殖を示し瘤状に発育したものを筋腫と呼びます。子宮には平滑筋が存在し、子宮にできた平滑筋の瘤(こぶ)を子宮筋腫と呼びます。
 発生の要因に関してはいまだ明確なものはありませんが、その発育には女性の場合、卵胞ホルモン(エストロゲン)が関与すると考えられています。
 子宮筋腫を有する人は、不妊率が高いことが古くから知られており、25〜30%といわれています。この頻度は一般の不妊率を6〜10%程度とみると、明らかに高率です。
子宮内膜症
子宮の内腔を裏打ちする内膜組織が本来あるべき場所以外の組織または臓器に異所性(本来あるべきところ以外にもあるような場合)に発現した場合の総称です。
子宮腺筋症
 内膜または内膜様組織が、子宮の筋層内に出現し増殖性の変化をとげた場合に子宮腺筋症と呼びます。(この病態が卵巣に主座がある場合で、卵巣が腫大した場合をチョコレート嚢胞と呼ぶ場合があります。) 性成熟期の女性に出現し、不妊症の原因となる場合があります。
卵巣嚢腫
 卵巣腫瘍(正常な卵巣の大きさ以上に腫れた瘤状のものの総称)の中の組織形態(細胞成分や細胞の配列形態)によって様々に分類されています。 
 大きく2つに分類すると
  ・嚢胞性(風船を膨らましたような状態)
  ・充実性(風船を膨らましたような状態の中に一部もしくは全部に細胞が詰まっている状態)
になります。
 嚢胞状に中に水、粘液、血液、脂などが溜っているようなものを総称して卵巣嚢腫といいます。
尿中LH
 LH(Luteinizing Hormone)は、日本語では黄体化ホルモンといいます。脳にある下垂体前葉から分泌されているホルモンで、このホルモンは排卵の直前に急激に血中に放出され、その後排卵が起こります。このホルモンの状態をみることで排卵をある程度予知することが可能になります。
 その方法として、血液から尿へ排出されたLHが一定以上、上昇した場合に反応がでるように作られたものを利用して排卵を予知しようとするものです。
高プロラクチン血症
 脳にある下垂体前葉から分泌されているホルモンで、乳腺組織に働きかけて乳汁の産生をうながす作用があります。
 このホルモンが一定以上の血中濃度に達した場合、個人差はあるものの多くは排卵が抑制されます。お産後長期無月経となりますが、この現象はこのホルモンの影響で排卵が抑制されるためのものと考えられています。
 時に妊娠以前に高プロラクチン血症があり、原因は
  ・不明
  ・下垂体腫瘍
  ・ある種の薬物によって上昇
などがあります。この値が高いために無排卵が起こっている場合には、原因の除去、あるいはこのホルモンを下げる薬を使用します。
FSH(Follicle-stimulating Hormone)
 日本語では卵胞刺激ホルモン。脳にある下垂体前葉から分泌されるホルモンで、卵巣の卵胞に働きかけて卵胞の発育に関与する物質です。
HMG(Human Menopausal Gonadotropin)
 日本語では更年期婦人尿性ゴナドトロピン。ゴナドトロピンとは、性腺刺激ホルモンのことで、性腺の発育をうながし、その機能を維持するホルモンの総称です。作用としては、FSHと同様に卵巣の卵胞に働きかけて卵胞の発育に関与する作用をもつものです。
HCG(Human Chorionic Gonadotropin)
 日本語ではヒト絨毛性ゴナドトロピン。作用としては、LHと同様に卵巣に働きかけ、排卵を起こしたり、排卵後の黄体期を維持する作用を有しています。
洗浄精液
 通常採取した精液中には、運動をしなくなった精子や奇形の精子が存在します。これらの精子を除去して、運動良好な精子を抽出し、回収した精液を一般に洗浄濃縮精液といいます。
習慣流産
 日本産科婦人科学会の定義によると、連続3回以上の自然流産の繰り返しをいいます。
 連続2回の自然流産の繰り返しには「反復流産」という言葉が用いられることがあります。
 原発性習慣流産と続発性習慣流産とに分けることができます。原発性習慣流産は初回妊娠以降連続的に流産を繰り返す場合です。続発性習慣流産は、生児を得た後の妊娠で流産を繰り返す場合です。現時点では、子宮外妊娠や胞状奇胎は妊娠回数に含めないとの考え方が一般的です。
 習慣流産の発生頻度は、生殖可能年齢の女性で0.3〜0.4%です。
 原因は、「母体因子」「夫婦由来・母児間由来の因子」「原因不明」です。
 母体因子
  1) 子宮の異常:奇形,筋腫,内膜症,頚管無力症,他
  2) 内分泌異常:黄体機能不全,甲状腺機能異常,糖尿病,他
  3) 感染症:梅毒,トキソプラズマ,他
  4) 自己免疫異常
  5) その他:精神身体的因子,喫煙,他
 夫婦由来・母児間由来の因子
  1) 染色体異常
  2) 血液型不適合
  3) 免疫学的因子
黄体化未破裂卵胞
 卵胞内にある卵が排出されずにそのまま黄体化してしまう状態です。もっとわかりやすく話すと、鶏の卵の殻が割れず、卵のきみが出ない状態と考えればよく、きみ(ヒトでは卵)が排出されないので受精できないが、排卵した後のように基礎体温では高温期を示すような状態と考えればよいかと思います。
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