〔本年度新規事業は斜字〕
[11]献金担当連絡室
戦後54年、日本に未曾有の社会変化が起きていると言われている。高度の経済の成長に支えられてきた社会が、進むべき方向を失っている。国民の多くが将来に対する不安を抱いていると警鐘を鳴らす人々がいる。国民の意識の中に既存の価値観と違った生き方を求める風潮もある。ましてや、障害を持つ人々にとって、福祉の後退は心配されるところである。
一方、障害者の書いた本が売れている。「障害は身体的特徴である」「障害は不便です。だけど不幸ではありません。」と言いきっている。おぎゃー献金発足当時の心身障害児の置かれた立場を考えると、格段の変化であり、隔世の感がある。300万部を売り尽くそうとしている現状は、日本の社会が障害者を理解し受け入れようとしている成熟のきざしかもしれない。昭和39年発足以来、おぎゃー献金を始め社会の福祉活動は日本社会の高度成長と共に歩んできた。障害児に対する思いやりとやさしさの心をいまここで後退させるわけにはいかない。
また、財団法人日母おぎゃー献金基金が開設したホームページに多くの反応がある。一般の人々や妊婦、さらにはマスメディアから多くの問い合わせがきている。おぎゃー献金はホームページを始め多くの媒体を通じて、心身障害児への理解と協力を仰ぎ、社会にやさしさと思いやりの心を醸成させる必要がある。
弱者を切り捨てることがないよう社会に対し啓発実践してきたおぎゃー献金36年間の戦いは、これからより一層試されるのかもしれない。今後、社会の変革と共に一般社会意識の変化が、障害児や妊婦、子供たちに及ぶことがないよう十分に見守りさらに積極的活動の必要がある。
この事を踏まえて、日母おぎゃー献金36年の活動実績を生かし、日本母性保護産婦人科医会会員の協力のもと心身障害児に手をさしのべたい。
よって以下の事項を(財)日母おぎゃー献金基金と協力して行う。
1.日母会員活動
(1)障害児・障害者団体の活動情報の収集
障害児・障害者団体の活動情報を収集し、日母おぎゃー献金や日母会員が何ができるか検討する。
(2)おぎゃー献金広報文書の作成
おぎゃー献金運動の精神を日母会員はもとより、妊産婦・医療従事者・一般社会に知ってもらうために、たびたび配布できる文書を作成する。
(3)勤務会員および未協力会員への協力要請
新しい会員や、おぎゃー献金運動に理解不充分の会員に、おぎゃー献金運動を理解してもらい、次の世代につながる行動をしてもらうために、正しい理解と協力を要請する。
(4)日母会員協力態勢の維持・強化
日母支部よりの献金ルートの維持を図り、従来通りポスター、献金ニュース、献金袋、領収書、献金箱、献金シール、献金のしおり、献金ミニパンフレット、ミニパンフレット付郵便振替用紙、郵便振替用紙入れなどを作成配布する。
(5)大病院の協力態勢の維持・強化
郵便振替用紙による献金方法を推進する。病院管理者等におぎゃー献金協力依頼の説明文書を(財)日母おぎゃー献金基金よりダイレクトに送付し要請する。
(6)日母産婦人科大会開催時に、「おぎゃー献金のしおり」、「献金ミニパンフレット」等を大会参加者に配布し、さらに支部長会や総務担当者会にも配布し、会員へのおぎゃー献金運動への協力を要請する。
(7)「おぎゃー献金推進月間」
10月の「おぎゃー献金推進月間」には、全国的に産婦人科病医院窓口で献金を推進するとともに、思いやりと助け合いのおぎゃー献金精神を知ってもらうためのPRをする。
(8)おぎゃー献金推進キャンペーンは、各地の反響を見て、今後の発展性について検討する。
(9)研究費配分先の研究成果の報告
本年開催される本部主催の日母産婦人科大会において、日母おぎゃー献金研究費配分による研究の成果の発表については検討する。
(10)「全国支部献金担当者連絡会」
全国支部献金担当者の意見を聴し、日母会員協力体制を確立する。
2.対外活動対策
(1)おぎゃー献金ホームページの積極的活用
おぎゃー献金ホームページを通じて、日母おぎゃー献金の活動の広報、心身障害児への理解と協力。妊産婦、子供たちへの社会のやさしさと思いやりを積極的に訴える。
(2)一般社会へのおぎゃー献金運動のPR
おぎゃー献金の運動を報道機関に伝え、障害児の実状をマスメディアに流し、障害児と日母のかかわりを報道してもらうとともに、日母おぎゃー献金の運動と精神を認識してもらう。
(3)(財)日母おぎゃー献金基金に協力している妊産婦誌“Be Mam”(旺文社発行)の編集、取材に協力。おぎゃー献金の記事を掲載し、妊産婦におぎゃー献金と障害児への理解を訴える。
(4)行政、関連団体、協賛団体への働きかけ
関連機関に対し、おぎゃー献金運動への日頃の協力を感謝し、さらに一層の積極的協力を依頼する。たとえば日本産科婦人科学会の総会開催時に、「おぎゃー献金のしおり」、「献金ミニパンフレット」等を学会参加者に配布し、おぎゃー献金運動への協力を要請する。
(5)新聞、雑誌関係者におぎゃー献金の事業の目的ならびに脳性麻痺や心身障害児についての理解を得るために懇談の機会を考える。
3.国際的活動対策
「インドネシア児童福祉基金財団」「ユニセフ」「大韓家族計画協会」等海外団体との連携を継続し、協力関係を維持する。さらに本邦で開催される関連国際学会等に協力し、おぎゃー献金運動を広く世界に知ってもらうよう努力する。
4.献金配分
施設、小口、研究費配分に対し厳正かつ厳密なる審査を行い、全国から集まった浄財を適切に配分する。
5.委員会
以上の事業を円滑に遂行するために献金委員会を存置する。
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